教員からのメッセージ
法の過去から現在・未来を読み解く

「法律って難しそう」、「法律の勉強といっても正直よくわからない」…。パンフレットを手にとったものの、このような不安や疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。
2人以上の人間がともに生活すれば、衝突したり揉めたりすることは避けられません。そこで、紛争の解決や発生の防止を図るために、一定のルール=社会規範が作られることになります。この社会規範の一つが法というわけです。法は、みなさんの身近にあって、社会生活を円滑に営むために欠かせない存在なのです。
では、法・法律を学ぶとはどういうことでしょうか。法学教育の本質は、条文を暗記したり、難解な法律用語を操ったりする力を養うことではありません。4年をかけてみなさんに磨いてもらいたいのは、社会で起こる様々な紛争に対してどうすれば「正義(=衡平)」が実現できるのかを考え、論理的な答えを導く力です。なぜなら紛争の多くは、「答えはこれしかない!」といった単純なものではないため、両当事者の言い分を聞きながら論理的でバランスの取れた答えを出す必要があるからです。これが、「法は善および衡平の術であるJūs est ars bonī et aequī」といわれる所以です。
法学部には実に多彩な科目があります。法学部と聞いてみなさんが一般的にイメージする憲法や民法、刑法といった「実定法(学)」と並び、「法とは何か」という根本的な問いを探求するのが「基礎法(学)」です。その一つが私の専門「法制史/法史学」であり、「歴史」というツールを用いて、現在の法律や制度の立ち位置を確認し、その将来を展望します。みなさんが自分の過去・現在・将来を「履歴書」に記すように、法の「履歴書」を解読することはより精確な法の理解を可能にします。とりわけ近代以降の日本法は西洋法の影響を強く受けていることからも、「西洋法制史」はみなさんの学びを深く豊かなものにしてくれるでしょう。
大阪大学法学部には、みなさんと一緒に悩み、考え、議論し、みなさんをサポートしてくれるスタッフや仲間がいます。法学を通して身近な社会の問題について考え、そして、日本も含め世界が抱える多様な課題にチャレンジする力を一緒に磨きましょう。Live Locally, Grow Globally!
法学科 的場 かおり 教授