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法学科で学ぶ

教員からのメッセージ

対話を通じて法学・政治学的な視点を学び、社会で活かす

法学部・法学科で学ぶ、というと、法律の知識をたくさん得ることで日常生活や仕事に役立てる、というイメージがあるかもしれません。しかし、法律の内容自体は今やインターネットやAIにより誰でも容易に知ることができる時代です。むしろ、法理論や具体的な判例を通じて法学を学ぶ重要な意義は、さまざまな場面でたとえば「公平性」や「法の趣旨」などを意識した、「法的な思考」に基づく視点を他人に提示できるようになることにあると思います。

私の専門は労働法という分野なので、「職場」における応用を考えてみます。ある会社で、精神的にきつい部署に欠員が出てしまったので、誰かに異動してもらわなければならない。責任のある人が、その「誰か」を決定しなければならない場面がやってきます。くじびきで決定する? 経験のある人にする?おとなしくて文句を言わない人にする? 男性のほうが向いている? むしろ女性のほうが……等々。どれも相応に根拠がありそうな選択肢です。こうした選択をする・決定をする際、組織を健全に運営していくためには、多くの人が決定に納得するであろう、公平性(従業員どうしの公平性だけでなく、会社と従業員の公平性などを複合的に考える必要があります)の観点から論理的に説明ができる人が、必ず必要とされます。また、もし決定に法律や契約がかかわってくる場合には、それらに記載された文言だけでなくその趣旨・目的に立ち戻って考え、適切な問題解決を提示できる人もやはり必要です。法学は、そうした人材を育てる絶好の学問だと思います。

法的な思考を身につけるためには、授業を受けたり本を読んだりするだけでなく、法学のプロである教員や、違った考え方を持つ他の学生等との対話が有益です。大阪大学法学部の特長は、比較的少人数の演習(ゼミ)を通じて、このような対話を積極的・活発に行うことができる点にあります。さらに、違った視点から物事を捉えることができる政治学系の科目も多く開講されており、問題解決に対する多様な思考方法があることを気づかせてくれます。みなさんも、大阪大学法学部で共に法学・政治学を通じた対話を楽しんでみませんか。

法学科 地神 亮佑 准教授