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研究会概要

■ 日本法社会学会関西研究支部例会&Legal Profession研究会合同研究会

2006年11月3日(金・祝)13時から17時過ぎまで、大阪大学大学院法学研究科大会議室(法・経総合研究棟4F)にて、日本法社会学会関西研究支部例会&Legal Profession研究会合同研究会が開催されました。すでにお知らせしたように、報告内容は、箕面市で実施した職場トラブル対処に関するアンケート調査結果の分析および評価ということで、「人は職場トラブルに遭ったときどのように行動するのか―職場トラブル対処方法に関する箕面市アンケート調査の結果から分かること―」というタイトルで、福井祐介(西日本短期大学)、渡邊太(大阪大学)、そして私の3人で共同報告させて頂きました。

報告は、最初に私が「共同研究の趣旨説明」を行い、続いて渡邊太さんが「回答者の基本属性」(回収率・バイアス)、「単純集計」(とくに問1)、「クロス集計」(問1の傾向、問2の傾向、問3の傾向)、さらに、福井祐介さんが「職場トラブル相談先ニーズ・スコア主成分分析」、「職場トラブル相談先ニーズ・スコア相関分析」、「相談先別相関ニーズと職場帰属意識の相関分析」について説明、最後に私が「制度設計への示唆」ということで、ファインディングスのまとめ、相談窓口等の望ましい連携のあり方などについて、私なりの見解を述べさせていただきました。ファインディングスの主要なものは、@男性は上司、女性は家族・親族を相談先として第一に選好している。Aフォーマルな上司/部下関係を男性は重視し、インフォーマルな関係を女性は重視している。B職場帰属意識が高いと、上司に相談する傾向がある(職場帰属意識が低いと、上司には相談しない傾向がある)が、職場帰属意識が低いと、友人・知人に相談する傾向がある(職場帰属意識が高いと、友人・知人には相談しない傾向がある)、C相関図から、ある相談先に行く人は別の相談先にも行く、という連携化の傾向が見出されるばかりでなく、ある相談先に行かない人は別の相談先にも行かないという傾向が見出される。D非制度的・職場外の相談先(家族・親族、友人知人)と制度的・職場外(裁判所、行政の相談窓口、専門家)には相関がなく、なかなか家族・親族等に相談できない層(男性・高齢)も行政等に相談に行くということに特段の支障は見出されない、などです。

ディスカッションでは、矢原隆行(広島国際大学)さんと、花野裕康(宇部フロンティア大学)さんが最初にコメントされ、このコメントに続いて参加者からいろいろな質問や意見が出されました。相談先の選定に法学的バイアスがかかっていて、心理カウンセラー等の相談先が質問票にないことや、箕面市でのランダムサンプリングによるデータが日本全体の職場トラブル対処行動について代表性を有するかどうかは疑問なしとしないということ、本調査では職場トラブルがどのようにしてトラブルとして認知され、構成されるかといった紛争生成プロセスについての分析がなく、それが今後の検討課題となることなどが指摘され、さらに、紛争解決の個人化傾向、心理学化傾向の問題性などについて議論が盛り上がりました。

連休初日で参加者はそれほど多くはありませんでしたが、充実したディスカッションでした。ここでのディスカッションを反映させることで、完成度の高い科研費成果報告書を仕上げることができそうです。ご参加のみなさん、本当にありがとうございました。