Handai Law Letter 第3号
在外研究報告 パリだより
高等司法研究科准教授 齋藤 由起
2012年2月より2年間の予定で、日本学術振興会海外特別研究員として、フランス・パンテオン=アサス(パリ第2)大学に在外研究にきています。民法(債権)法改正作業においては、保証人保護の方策の導入が議論されていますが、フランスでは1970年代から立法と判例の蓄積があり、保証の社会実態を反映した保護のあり方や倒産法制における保証人の処遇についての議論はわが国にとっても非常に参考になるところです。
パリ大学は日本民法の父といわれるボアソナードも学んだ伝統のある大学で、法律学のトップクラスの研究機関として数多くの優秀な研究者を輩出しています。フランスの大学では、教員の個人研究室や机がなく、図書館や共同の研究室あるいは自宅で研究するのが一般的です。日本との研究環境の違いに当初は戸惑いましたが、同世代の研究者と気軽に議論や交流できるいい機会だと捉えています。
滞在初期に大統領選挙による政権交代を経験し、現在は、オランド大統領の公約である同性婚と同性カップルにも養子縁組を認める法案が、社会全体を二分する論争を引き起こしています。このような激動の瞬間に立ち会うことができるのは本当に幸運だと感じています。 在外研究に際しましては、高等司法研究科・法学研究科の先生方のご協力を賜りましたことに、心より御礼申し上げます。あと1年ほど不在にし、皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
編集後記 ─ 広報室
室長 鈴木 秀美
Handai Law Letterは、法学の分野で教育・研究を相互に協力して行っている法学研究科、高等司法研究科、知的財産センターが共同で発行するニューズレターです。本号では、これら3部局と法学研究科附属法政実務連携センターの報告に続いて、部局横断的に設置された国際交流室、研究推進室、学生支援室等、各室の活動が報告されています。2012年4月、広報室は法学系組織のポータルサイトとしてHandai Law Portalを開設しました。Handai Law Letterのバックナンバーもそこに掲載されています。広報室では、各組織の独自性を尊重しながら、このニューズレターやインターネットによる広報を通じて、3つの組織の広報活動における相互関連性をさらに強化してゆきたいと考えています。