Handai Law Letter

第7号 2017年3月1日発行

退職にあたって ご挨拶

法学研究科 小嶌 典明 教授

 平成5年4月に公務員法の世界でいう転任という形で赴任して以来、大阪大学には合計24年間お世話になりました。16年3月までは国家公務員として、同年4月以降は国立大学法人の職員として。法人化の前後8年間、人事労務の現場で仕事ができたことは、私個人にとっては最大の収穫でした。この40年間に10冊の本(単著)を含む500本以上の原稿を書いてきましたが、法人化前における就業規則の作成以上に時間をかけた(睡眠も十分にとれなかった)ものはありませんでした。当初に起案した労使協定を含め、私にとっては大学に残すことのできた数少ない財産です。小渕内閣から第一次安倍内閣まで続いた、規制改革(雇用・労働法制の改革)の現場における仕事からも、いろいろな社会の現実を学びました。法学部における講義や法学研究科の授業(後者の一部は人事課の職員研修を兼ねる)でも、そうした現場の話をよくしました。法理論(司法試験等に合格するための知識)を学びたい学生にとっては、きっと迷惑だったと思います。しかし、私から現場をとったら、何も残りません。現場バカの変な教師が一人いた。それでよかった(他に選択肢がなかった)と、今でも思っています。

 



法学研究科 佐久間 修 教授

 平成28年度末で大阪大学を退職して、名古屋市内の名古屋学院大学に移ることになりました。

 まだ定年退職まで3年ほどありますが、年老いた両親の介護や健康上の理由もあって、早めに自宅近くの大学に異動します。平成7年の阪神・淡路大震災の後、京都・西賀茂の自宅を引き払って郷里の名古屋に家族を戻してから、ほぼ22年に及んだ名古屋・大阪間の遠距離通勤から、ようやく解放されそうです。

 思い返せば、平成6年の春、京都産業大より大阪大学に着任して以来、(月並みな言い方ですが)23年があっという間に過ぎ去った感じです。そのころ(わずか刑法1名と刑訴法1名の教員)に比べたら刑事法のスタッフも格段に充実しました。とはいえ、法学・政治学の分野では、若手研究者の養成や法科大学院の改廃、さらには、大学全体の財政危機といった難問が山積しています。中堅および若手の皆さんが、こうした障害を克服して明るい展望を与えて下さることを願っています。

 



法学研究科 ペドリサ ルイス 准教授

 大阪大学に着任して、三年間が経過し、教務や環境にようやく慣れてきたところですが、大阪を離れることになりました。後ろ髪を引かれる思いですが、この場を借りて、大阪大学で過ごした日々を振り返りつつ、退職のご挨拶をさせていただきます。

 大阪大学には、私にとって初めての専任教員職として(母校でも助教を務めていましたが、その時は専ら研究活動に従事していました)、着任しました。しかも「准教授」という肩書き付きだったこともあって、身に余る思いがしたことを覚えています。けれども同僚の方々から温かく受け入れられ、熱意に溢れる教え子にも恵まれました。振り返れば、あっという間に任期が終了したと感じます。

 この間、日本で留学している外国人学生および留学を希望している日本人学生に日本法・比較法を教えることができたのは、15年前、留学生として2002年に日本法を学びに来日した自分の姿と重なり、感慨深い思い出です。また、長い間夢見てきたラテン語の授業を設けたいとか、専門分野である憲法を英語で教えたいとか、教科に関する私のわがままを快諾してくださった同僚の先生方に感謝しております。

 大阪大学を離れることは悲しく思いますが、この間に得た経験を次の職務に活かし、皆様との間で結ばれた「縁」を今後とも大事にしたいと思います。

 



高等司法研究科 池田 辰夫 教授

 みなさまには大変お世話になりました。おかげさまで燃焼しきった37年でした。共通一次試験の監督業務でしたか。夜の明けない頃から自宅を出て電車の中でようやく明るくなってきます。目の前にひろがる感動的な景色は地球と宇宙を実感できます。阪神淡路の大震災の前日もそうだったと記憶します。とはいえ、平成元年からは関連科目を一手に引き受けることとなりまして、まったくしびれるような毎日でした。そうした毎日の中でも、とりわけ、学生たちと切磋琢磨する日々は、これまでも、また今もとても楽しいものです。ある日、アジアからのお客様でした。すべてを一度に見ることはできないのですね、そこが素晴らしい、と。見えないところに世の中の大事なことがあると夭折の天才詩人は詠います。多くの方々のかけがえのないまごころで支えていただきましたこと、感謝してもしきれません。あらためまして心からの御礼を申し上げたく思います。本当にありがとうございました。やり残した課題がないといえば、そうではまったくありませんが、これからも次の世代への橋渡しになればと願って、継続して取り組んでと思います。あらためて心より厚く御礼を申し上げます。

 



高等司法研究科 山下 典孝 教授

 2004年4月、高等司法研究科の発足時に着任し、13年間を過ごさせて頂きました。

 大阪大学では自由に研究活動や社会貢献活動が出来る環境であったと大変感謝しております。また各種委員会等の職務においては、同僚の先生はもちろんのこと、事務職員の皆様には大変助けて頂きましたこと、この場を借りてお礼申し上げます。

 新天地におきましても、弁護士業務拡大と依頼者保護のために尽力したいと考えておりますので、引き続き、ご理解ご協力の程お願い申し上げます。

 法科大学院を取り巻く環境は年々厳しくなっておりますが、大阪大学には他の大学が追随できない強みがあると思っています。その強みを前面に押し出すためにも法学研究科とのこれまで以上の強い連携を図り、更なる成長と発展を目指されることを祈念しております。