◎アローの定理(社会的選択理論入門)

・アローの定理
    アローの一般可能性定理(Arrow's General Possibility Theorem)、
    アローの不可能性定理(Arrow's Impossibility Theorem)
    とも言う

簡単に言うと
「2人以上の集団が、3つ以上の選択肢を好きな順番に並べる必要に
迫られている。集団の構成員の好きな順番を元に
集団としての順番を合理的かつ民主的に決定したいが、
そのような方法は存在しない。」

アローの定理は数学的な枠組で証明できる論理的な帰結である。
(ただし、上の「合理的」や「民主的」という語句には注意が必要)

アローの定理参考文献
・佐伯 胖『「きめ方」の論理』東京大学出版

以下はWeb上の文献

・「Arrowの一般可能性定理の証明の解説」 松井知己
   http://www.misojiro.t.u-tokyo.ac.jp/~tomomi/text/text.html
・「社会的選択理論の基礎」  田中靖人
    http://www2.tamacc.chuo-u.ac.jp/keizaiken/discuss.htm
・「A Summary of the Arrow's impossibility theorem and of its proof」
        Marcus Alexander
   http://www.people.fas.harvard.edu/~malexand/alexander-voting4.pdf

集団として、選択肢の中から一つを選び出す、もしくは選択肢に
優先順位をつける、という状況は日常的に存在する。
そして、民主的な社会であれば、その決定を構成員の意見を元に
行なおうとするのは当然であると言える。

ここでは、

集団として、選択肢に優先順位をつけなければいけない。この時に
個人が各選択肢につける優先順位を元に、集団としての優先順位を
決定する事を考える。

・集団として選択肢の優先順位をつけないといけないような状況
    選択肢の中から最上ものを一つだけ選べば良いような状況の方が
    多いであろうが、選択肢の優先順位をつける必要があるような状況も
    十分考えられる。
    例えばその集団が別の集団と交渉をする必要性があるとする。
    この場合、最上の選択肢で交渉がまとまるとは限らない。
    すると交渉を行なう集団の代表には、あらかじめ優先順位の
    つけられた選択肢のリストが必要となる。

○選好
2つの選択肢のうち、どちらが好きかということを「選好」という。
    
○個人の選好
集団がn人からなるとして、各構成員に1,2,..,n の番号をふる。

ここで、個人 i が選択肢 y より 選択肢 xを好ましいとする時、

    x >i y 

と書く。(個人 3 が y より x が好きなら x >3 y となる)
また、個人 i が選択肢 x と 選択肢 y を同程度に好ましいとする時、

     x 〜i y 

と書く。さらに個人 i が選択肢 y より 選択肢 x を好ましいとするか、
もしくは同程度であるとする場合は

     x ≧i y

と書く。

個人の選好についていくつかの性質を仮定する。

(1)完備性(completeness)
あらゆる2個の選択肢x,yについて、以下の内どれか一つが必ず成立する。

・ x >i y
・ x 〜i y
・ y >i x

これは
「各個人がすべての選択肢について、どちらか好ましいか決定できないと、
社会全体の選好は決定できないであろう」という事の反映であるといえる。

(2)反射性(reflexivity)
あらゆる選択肢xについて、

・ x 〜i x

である。

これは当たり前といえば当たり前である。

(3)推移性(transitivity)
あらゆる3個の選択肢、x,y,zについて、以下が成立する。

1. x ≧i y  かつ  y ≧i z ならば  x ≧i z 
2. x >i y  かつ  y >i z ならば  x >i z 
3. x >i y  かつ  y 〜i z ならば  x >i z 
4. x 〜i y  かつ  y >i z ならば  x >i z 
5. x 〜i y  かつ  y 〜i z ならば  x 〜i z 


・選択肢の順位
個人の選好が以上の3つの条件を満たせば、各選択肢に順序をつける事ができる。

(注:ここで言う優先順位は
    1位: x と y
    2位: z
    3位: u とw
のように同順位の存在を許している)

推移性を満たさない場合、

 x >i y  かつ    y >i z かつ  z >i x

のような事があり得る。これではx,y,zに順位をつける事はできない。
これは
「各個人が優先順位をつけられないのに、社会全体で優先順位を
つけられるわけがない」という事の反映である。


個人 i の選好をまとめて Ri という記号で書いておく。
この Riというのは 

たとえば選択肢がx,y,zの三つであるとして、
---------------------------------
|選択肢のペア|選好              |
---------------------------------
|    x,y     | xの方が好き      |
|    x,z     | おなじ程度にすき |
|    y,z     | zの方が好き      |
---------------------------------

のように、与えられた二つのペアのうち、どちらが好きかを
教えてくれる表のようなものである。

○社会の選好
さて、実際に行ないたいのは

「個人の選好を集計して、社会全体の選好を決定する」

事である。
つまり、各個人の選好 Ri (i=1,2,...,n)を元に
社会全体の選好 R を決定する事である。

各個人の選好 R1,R2,...,Rnから社会全体の選好を決定する手続きの事を

社会的選択ルール(Social choice rule)

という。

社会的選択ルールは、いわば各個人の選好 R1,R2,...,Rnを入力すると、
社会全体の選好を教えてくれる機械のようなものである。
(この授業ではこれを「社会的選択ルール機械」と呼んでおく。)

さて、選択肢のペア(x,y)について社会全体が y より xの方を好ましいとする時、

    x > y

と書き、また、同様に好ましいとする時

    x 〜 y

と書く。また、y より xの方が好ましいか、もしくは同様に好ましいとする時、

     x ≧ y

と書く事とする。

ここでは社会全体の選好についても、個人の選好と同様に

・完備性(任意の二つの選択肢x,yについて、x > y か x 〜 y か y > x)
・反射性 (x 〜 x)
・推移性 (x ≧ y かつ y ≧ z ならば x ≧ z)

を仮定する。これは、
社会全体の選択肢についても優先順位をつけるためである。

・単純多数決
選択肢 x と yのどちらを好ましいかを決定する方法として、
単純多数決が考えられる。つまり

x > y : x >i y の人の方が y >i x の人の方が多い
x 〜 y : x >i y の人のが y >i x の人と同数
y > x : y >i x の人の方が x >i y の人の方が多い

という事である。このように決定した社会的選好は
完備性と反射性を満たすが、推移性を満たさない可能性がある。

例: 
3人からなる集団で選択肢はx,y,zとする。

個人1: x >1 y >1 z
個人2: y >2 z >2 x
個人3: z >3 x >3 y

この時 ,単純多数決では

xとy    x:2票 y:1票 → x > y
yとz    y:2票 z:1票 → y > z
zとx    z:2票 x:1票 → z > x

となり、推移性を満たさない。従って社会的にはx,y,zの優先順位を
決定できない。

○「合理的」で「民主的」な社会的選択ルール

個人の選好を集計して社会的な選好を決定したいのであるが、
これを行なう「合理的」で「民主的」社会的選択ルールは
どのような性質を持つべきであろうか。
アローは次のような性質を持つ社会的選択ルールについての研究を行なった。

条件U:人々の選好についてはいかなるものも許される
      (定義域の非限定性 (Unrestricted domain))
個人の選好にはどのような制限も加えない。各個人はどのような選好も許される。

つまり、「社会的選択ルール機械」への入力 R1,R2,...,Rnとしては、
どのようなものでも構わない、この「機械」は答を出さないといけない、
という事である。各個人はどのような突拍子もない選好をしても構わない。

これは「民主的な社会では各人はどのような主張もする事ができる」事の
反映であると言える。

条件P:パレート原理(Pareto Principle)
すべての個人が x >i y であるならば、社会全体としても x > y である。

これは全員が同意見であれば、それは社会的な合意であるという事を意味する。

条件I:無関係な選択対象からの独立性
      (independence of irrelevant alternatives(IIA))
選択肢 xとy についての社会的な選好は、各個人のxとyの選好によってのみ決まり、
他の選択肢には依存しない。

社会的に xと yのどちらを好ましいかを決定するのには、
各個人が x と y のどちらを好ましいかが分かれば十分であり、
他の選択肢(例えばz)と xやy のどちらが好ましいかを知る必要はない。

この条件は、例えば、リンゴとナシとミカンの選択肢がある時、
社会的にリンゴとナシの選好を決めるのには、各個人に
「リンゴとナシ」のどちらが好きかを聞けば十分であり、
「リンゴとミカンのどちらが好きか」とか「ナシとミカンのどちらが好きか」を
問う必要はない事を主張している。

言い方を少し変えると、
「各個人の選好に基づき、社会的にリンゴよりナシの方が好ましいという
結論がえられたとする。そのとき、各個人がリンゴとナシについての選好以外の
選好を変えたとしても、社会的にリンゴよりナシの方が好ましいという
結論は変化しない。」という事になる。

もしこの条件を認めないとすると、
「リンゴとナシ」の社会的選好を決定するのに、ミカンだけでなく、
ブドウやバナナ、キウイ、モモ、柿、.....、といろいろな可能性を
考慮しなければならない事になり、不都合が生じる。

条件D:独裁者(Dictator)がいない
独裁者とは次のような性質を満たす個人iの事である。

  あらゆる選択肢のペア xとyについて、 x >i y ならば、 x > y である。

つまり、ある個人 i の選好が社会的選好となってしまう。

この条件は、そのような個人(つまり独裁者)が存在しない事を要求している。

・ボルダルール
    次のような社会的選択ルールを考える。
    3つの選択肢 x,y,zがあるとする。
    各個人は
        1位の選択肢に2点
        2位の選択肢に1点
        3位の選択肢に0点
    をつけ、投票する。そしてこれを集計し、社会的選好とする。

    この方法は、社会的選好の完備性、反射性、推移性および条件Uをみたす。
    全員がより好ましいとした選択肢は、社会的にもより好ましいとなるので、
    条件 P を満たす。
    また、一人の投票で結果が決まる事はないので、条件Dも満たす。
    しかし、条件 I が成立しない。

    3人の集団として、各個人が次のような選好を持つとする。
        個人1: x >1 y >1 z
        個人2: z >2 x >2 y
        個人3: y >3 x >3 z
    この時、x:4点, y:3点, z:2点 となり、 x > y > z となる。

    さて、個人3の選好が上の例から、
    個人3: y >3 z >3 x
    に変化したとする。 この時、 x と yの選好だけに注目すると、

        個人1: x >1 y
        個人2: x >2 y
        個人3: y >3 x

    となり、最初の場合と後の場合で変化していない。
    すると、条件Iが満たされていれば、x > y の関係は変わらないはずである。
    しかし、集計すると、x:3点, y:3点 ,z:3点となり、 x 〜 y 〜 z となる。


○アローの一般可能性定理
アローの定理は次のようなものである。

アローの一般可能性定理
社会的選好が完備性、反射性、推移性を満たすとする。 また、選択肢の数は3つ以上、社会の構成員の数は2人以上とする。この時、 ・条件U: 人々の選好についてはいかなるものも許される。 ・条件P: パレート原理 ・条件I: 無関係な選択対象からの独立性 ・条件D: 独裁者がいない のすべてを満たすような社会的選択ルールは存在しない。
これを言い替えると、
選択肢が3つ以上、構成員の数が2人以上の場合、 社会的選好が完備性、反射性、推移性を満たしているならば、 条件 U,P,Iを満たす社会的選択ルールには独裁者が存在する。
となる。これからこの定理の証明を行なう。 ○いくつかの言葉の定義 まず、いくつかの言葉を定義する。これらは証明に必要な技術上の 言葉であり、実質的な意味をもつものでは必ずしもない。 ・グループGは選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的(almost decisive)
選択肢のペア(x,y)があり、グループGに属している個人がすべて x >i y であり、 グループGに属していない個人がすべて y >i x であるとき、 常に社会的に x > y となるならば、 『グループGは選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的』と言う。
グループGは選択肢のペア(x,y)について、決定的(decisive)
選択肢x,yがあり、グループGに属している個人がすべて x >i y であるとき、 グループGに属していない個人の選好に関わらず、 常に社会的に x > y となるならば、 『グループGは選択肢のペア(x,y)について、決定的』と言う。
この定義から分かるように 『グループGは選択肢のペア(x,y)について、決定的』ならば、 『グループGは選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的』である。 ここで簡略化のために、 ・『グループGは選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的』である事を、「G は D'(x,y)」 ・『グループGは選択肢のペア(x,y)について、決定的』である事を、「G は D(x,y)」 と書く事にする。 これを使うと、上で述べた事は「GはD(x,y) → GはD'(x,y)」と書ける。 ・グループGは決定的なグループ
あらゆる選択肢のペア(x,y)について、グループGが決定的である時、 『グループGは、決定的なグループ』と言う。
この時、決定的なグループGの構成員全員が合意した事が、社会的決定になる。 ・独裁者
独裁者とは1人だけからなる、決定的なグループの事である。
○アローの定理の証明 まず、次の定理を示す。 定理1
社会的選択ルールが、完備性、反射性、推移性および、 条件U(人々の選好についての非限定),P(パレート原理),I(無関係な対象からの独立性) を満たすとする。この時、ある選択肢のペア(x,y)についてほとんど決定的なグループGが 存在すれば、そのグループはあらゆる選択肢のペアについて 決定的なグループとなる。つまりGは決定的なグループとなる。
つまり、グループGはある選択肢のペア(x,y)についてほとんど決定的だったとする。 すると、驚くべき事に、グループGはどんな選択肢のペア(z,w)についても、 決定的となり、グループGの全員が同意した選好については、 それがそのまま社会全体の選好となってしまう。 ▽証明 ここでは簡単のために選択肢が4つ以上の場合を証明する。 (あとに3つの場合の証明もつけておく) グループGを選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的なグループとする。 また、a,bをx,y以外の任意の選択肢とする。 (つまり、a,bはxやyと異なればなんでもよい。) この時、各個人が次のような選好を持っていたとする。 (これを 状態 α と呼んでおこう) ・グループGに属する個人全員 a >i x x >i y y >i b ・グループGに属していない個人全員 a >i x y >i b y >i x aとbの選好については何でもよい ここでグループGに属していない個人については、 aとbの選好について特に制限をしていない事に注意しておく事。 各個人は a >i b でも、 a 〜i b でも b >i a であっても、 どれでもよいのである。(数直線のようなものを書けば分かり安い) (グループGに属している個人は 選好の推移性より、 a >i b である。) さて、ここで社会全体の選好がどうなるか、考えてみる。 ・x > y グループGがx,yについてほとんど決定的であるので ・a > x 社会の構成員全員が a >i x なので、パレート原理より ・y > b 社会の構成員全員が y >i b なので、パレート原理より 以上の三つ、および社会選好の推移性より a > b が導かれる さて、ここで先ほどの注意を思いだそう。今、aとbに対する各個人の選好は 次のようになっている。 ・グループGに属している個人全員は a >i b ・グループGに属していない個人は a と bのどちらが好きでもかまわない。 以上をまとめると、 「各個人が状態αのような選好を持っているケースでは、 選好グループGに属している人は全員 a >i bであり、さらに グループGに属していない人の a とb についての選好は何でもよい。 このとき社会全体としての選好は a > b となる。」 ここで条件I(無関係の選択対象からの独立性)に注意する。 aとbのどちらかが社会的に好ましいかは、各個人のaとbについての 選好だけから決まるのであった。 今の場合のaとbについての各個人の選好は ・グループGに属する個人: a >i b ・グループGに属さない個人: a と bのどちらが好きでもかまわない。 である。しかも条件Iによれば、各個人のaとbについての選好が 変わらなければ、他の選択肢についての選好がどのようなもので あっても、aとbの社会的選好は変化しない。 つまり 「グループGに属する個人全員が a >i b という選好をもってさえいれば、 社会の構成員の各個人が他の選択肢をどのように変化させても、 (つまり、状態αのような選好を持っていなくても) a > b という結論は変化しない」 従って次のような結論が得られる。 「グループGに属する個人全員が a >i b であれば、 グループGに属さない個人の選好がどのようなものであっても、 社会的な選好は a > b である。」 つまり、グループGは選択肢のペア(a,b)について決定的である。 ところで、aとbはどのような選択肢でもよかった。ということは、つまり 「グループGにはあらゆる選択肢のペアについて、決定的である。」 ようするに 「グループGは決定的なグループである。」 という結論が得られた。 以上で、定理1の証明が終了した。 ------------------------------- ▽選択肢が3つの場合の証明 (1)x,y以外の任意の選択肢を z とする。(zはxおよびyと異なれば何でも良い) 各個人が次のような選好を持っていたとする。 ・グループGに属する個人 x >i y y >i z ・グループGに属さない個人 y >i x y >i z これより社会全体の選好について、次が分かる。 ・ x > y (グループGが(x,y)についてほとんど決定的である事から) ・ y > z (全員が y >i z なので、パレート原理より) 以上より、x > z が結論できる。 グループGに属している個人は全員 x >i z であり、 グループGに属さない個人については、x と z についての選好はなんでも よい事に注意すると、条件Iを使って、 ・「グループGに属する個人全員が x >i z であれば、 グループGに属さない個人の選好が何であっても、社会全体の選好は x > z となる。」事がいえる。 つまり、グループGは選択肢のペア(x,z)について、決定的である。 GはD(x,z)である。 (2)x,y以外の任意の選択肢を w とする。(wはxおよびyと異なれば何でも良い) 各個人が次のような選好を持っていたとする。 ・グループGに属する個人 w >i x x >i y ・グループGに属さない個人 w >i x y >i x これより社会全体の選好について、次が分かる。 ・ x > y (グループGが(x,y)についてほとんど決定的である事から) ・ w > x (全員が w >i x なので、パレート原理より) 以上より、w > y が結論できる。 グループGに属している個人は全員 w >i y であり、 グループGに属さない個人については、w と y についての選好はなんでも よい事に注意すると、条件Iを使って、 ・「グループGに属する個人全員が w >i y であれば、 グループGに属さない個人の選好が何であっても、社会全体の選好は w > y となる。」事がいえる。 つまり、グループGは選択肢のペア(w,y)について、決定的である。 Gは(w,y)である。 以上の(1)(2)より、 GはD'(x,y) → GはD(x,z) → GはD'(x,z) → Gは(w,z) (最初の仮定) (1) (2) 以上より、Gはあらゆる選択肢のペア(w,z)に対して決定的である事が いえる。つまりGは決定的なグループである。 (証明終) ----------------------------- ▽決定的グループGの人数 条件P(パレート原理)を考慮すると、社会の構成員全体からなるグループは 決定的なグループである事がわかる。 つまり、全員が x >i y なら社会的選好も x > y となる。 さて、次の定理を証明する。 定理2
構成員の数が1人であるような決定的なグループが存在する。 (つまりこれは独裁者の存在を意味する。これはアローの定理そのものである。)
さて、決定的なグループなるものは必ずひとつは存在する事が分かっている。 (つまり、構成員全員からなるグループ) 決定的なグループは複数存在するかも知れない。 それではそのようなグループの内、人数が最も少ないグループをGとしよう。 そこで、このグループGの人数が2人以上であり、Gより 構成人数の少ない決定的なグループは存在しないと仮定して、矛盾を導く。 グループGの中の特定の一人を個人 j とする。 そして各個人が次のよな選好を持っていたとする。 ・グループGに属する特定の個人 j x >j y y >j z ・グループGに属する個人で 個人 j 以外の人 y >i z z >i x ・グループGに属していない人 z >i x x >i y この時の社会的選好がどうなるか、考えよう。 まず、グループGが任意の選択肢について決定的である事から ・ y > z である。xとzについては、 (1) x > z であるか (2) z ≧ x のあるかのどちらかである。 まず、(1) x > z であるとしよう。 すると ・個人 j は x >i z ・個人 j 以外は z >i x であるから、条件Iを使えば、これは「個人jは (x,z)についてほとんど決定的である」 事を意味する。これは定理1より 「個人jだけからなるグループは 決定的なグループである」 となり、グループGより小さい決定的なグループが存在した事になり、 前提と矛盾する。 それでは (2) z ≧ x としてみよう。 すると、推移性より y > x となる。この場合、 ・グループGに属する特定の個人 j x >j y ・グループGに属する個人で 個人 j 以外の人 y >i x ・グループGに属していない人 x >i y となり、 「グループGに属する個人で 個人 j 以外の人」は全員 y >i x であり、 それ以外の人は全員 x >i y である。 社会的選好は y > x であるから、 条件Iを使えば「グループGに属する個人で 個人 j 以外の人」からなるグループは (y,x)について、ほとんど決定的である事がわかる。 再び定理1より、 「グループGに属する個人で 個人 j 以外の人」からなるグループは 決定的である事になる。 ところがこのグループの人数はグループGの人数より少ない。 これはグループGの人数より少ない決定的なグループは存在しないと した仮定と矛盾する。 以上より、 「構成人数の最も少ない決定的なグループの人数が2以上である」という 仮定は誤りである事が分かった。 つまり、「構成人数が1人であるような決定的なグループが存在する」 つまり、「独裁者が存在する」ことが分かった。 (証明終) ------------------------------------------ 以上でアローの定理、
選択肢が3つ以上、構成員の数が2人以上の場合、 社会的選好が完備性、反射性、推移性を満たしているならば、 条件 U,P,Iを満たす社会的選択ルールには独裁者が存在する。
の証明が終了した。 ○アローの定理の検討 アローの定理はその前提である、 社会的選好の完備性、反射性、推移性、および 条件 U(定義域の非限定性),条件P(パレート原理),条件I(無関係な選択対象からの独立)、 条件D(独裁者の非存在)を認めてしまえば、厳密な論理的帰結として出てくる。 もしアローの定理の結果(民主的に社会的な選好を決定する方法がない)を 回避したければ、前提となっている条件を変更するしかない。 ・「条件U:人々の選好についてはいかなるものも許される」を変更する。 人々の選好について、ある種の制限を加えると、 アローの定理を回避でき、(単峰性、極値制限など) 単純多数決がアローの4つの要請を満たす事が分かっている (http://www.ier.hit-u.ac.jp/~yosihara/Amarutiasen-to-shakaisetakurionDP2.pdf) ・「条件I:無関係な選択対象からの独立性(IIA)」を変更する。 アローの定理を回避する方法としてもっともよく研究された。 ・「条件P:パレート原理(Pareto Principle) すべての個人が x >i y であるならば、社会全体としても x > y である。」 を疑う研究者は少なかったが、 Senは条件Pと条件Uだけでも、ある問題が生じる事をしめした。 ◎セン(Senn)の自由主義のパラドックス センはこの節で紹介する定理を証明し、パレート原理にも パラドキシカルな事態がおこる原因があることを指摘した。 ある個人が「あお向けになって寝るか」「うつ伏せになって寝るか」 はその個人に任せてよい事項であると考えてよい。 一方、その個人の寝る方法を社会的な規制の対象と することも可能である。 つまり「Aさんはあお向けで寝なければならない」という法律を 作る事は可能である。 そこで社会的選択ルールには、次のような要請をおく事は 自然である。 条件L: 社会の構成員はすべて、自分の選好が社会的な選好になるような 選択肢のペアを、少なくとも一つもつ さらにこれより緩い条件 L'を考えてみる。 条件L': 社会の構成員の少なくとも二人は、自分の選好が社会的な選好になるような 選択肢のペアを、少なくとも一つもつ センは ・条件U:人々の選好についてはいかなるものも許される ・条件P:パレート原理 ・条件L' を要請すると、社会的な選好が推移性を満たさない、 つまり社会的な優先順位が付けられない事がある事を示した。 これをセンの定理、または センの自由主義のパラドックスと言う (この時、条件I(無関係な選好対象からの独立)は要請していない事に注意) ○センの定理の証明 条件L'の中の「自分の選好が社会的な選好になるような 選択肢のペアを、少なくとも一つもつ」個人を1 および 2 とする。 また、個人1がもつ「自分の選好が社会的な選好になるような 選択肢のペア」を(x,y) 個人2がもつ「自分の選好が社会的な選好になるような 選択肢のペア」を(z,w) とする。ここでは簡単のために、x,y,z,wはすべて異なる ものとする。 ここで各個人が次のような選好を持つとする。 ・個人1: w >1 x >1 y >1 z ・個人2: y >2 z >2 w >2 x ・個人1,2以外: y >i z および w >i x この時の社会的選好は 条件L'より ・x > y ・z > w およびパレート原理より ・y > z ・w > x となる。以上より、 ・x > y 、y > z、z > w でありながら、 ・w > x となり、推移性を満たさない。 これでセンの定理が証明された。 ------------- ○x,y,z,wのうち、どれか二つが等しい場合の証明 (x=z or x=w or y=z or y=w が成立する場合) ▽x=zの場合 ・個人1: x >1 y >1 w ・個人2: w >2 x および y >2 w ・個人1,2以外: y >i w とする。 まず、条件L'より、x > y および w > x がわかる。さらにパレート原理より y > w であるから、選好が循環してしまう。 残りのケースも同様である。 ------------------- ○センのパラドックスの具体例 チャタレイ夫人の恋人『チャタレイ夫人の恋人』という本が1 冊だけあり,そ れをA 氏が読む,B 氏が読む,誰も読まない,という3 つの選択肢があるもの とする。それぞれをa,b,φ と名づける。 謹厳家のA 氏は,誰もその本を読まないことを最も望み, 次には彼自身が読むことを望み,『影響を受けやすい』 B 氏が読むことは最悪であると考えているとする。すなわちA 氏は φ >A a >A b の順で選好する。 一方,B 氏は2 人とも読まないよりはどちらかが読むことを望 むが,彼自身が読むよりも堅物のA 氏が読むことを望んでいるとする。 つまりB 氏は a >B b >B φ の順で選好する。さて,A 氏がこの本を読むか読まないかはA 氏の問題であるから,A 氏が自ら読むことを望まないのであれば社会としても A 氏が読むことよりも誰も読まないことを選好すべきであると言える。同様に B 氏が読むか読まないかはB 氏の問題であるから,B 氏が自ら読むことを望む のであれば社会としても誰も読まないことよりはB 氏が読むことを選好すべき である。つまり社会的には φ > a であり,また b > φ であるあるから,社会的な選好が非循環性を満たすならば b > a でなければはならないしかしA 氏,B 氏ともに, b よりもa を選好しているからパレート原理によれば a > b であるから矛盾が生じる。 ◎投票の戦略的操作可能性(strategically manipulable)と ギバード・サタースウェイトの定理(Gibbard-Satterthwaite Theorem) 各個人の選好はアローの定理の場合と同様に、完備性、反射性、推移性を前提とする。 今回は、各個人の選好をもとに、社会的に選択肢の中の一つだけを選び だす事を考える。 各個人の選好をもとに、社会的にひとつ選択肢を選ぶ仕組みを、社会選択関数という まず、いくつかの具体例を用いて、戦略的操作可能性(strategically manipulable)という考え方を紹介する。 ○単純多数決 選択肢がx,y,zの三つの場合を考える。 x,y,z の各選択肢について、各個人が最も好むものに1点を、それ以外には0点を いれて集計し、最も得点の多いものを社会の選択肢とする。 この時、もし x と yが同点なら x を、 y と zが同点なら y を、 x と zが同点なら x を、 x と y と zが同点なら x を、選ぶものとする。 さて、4人からなる社会であるとして、各個人が次のような選好を持っていたとする。 ・個人1: x >1 y >1 z ・個人2: y >2 x >2 z ・個人3: y >3 x >3 z ・個人4: z >4 x >4 y この時、社会的選択はyとなる。 しかし個人4 が自分の選好を偽って、 ・個人4: x >4 z >4 y と表明したとしよう。すると社会的選択は (xとyが同点であるので、)xと なる。個人4の立場にたつと、社会的選択が自分にとって 最悪の y から よりましな xに変わった事になる。 個人4は、自分の最も推す候補が勝てそうもないので、他のまだましな候補に 投票している。 このように、ある一人の個人が自分の選好を偽って表明する事で、 正直に表明した場合に比べて、自分により有利な結果に変える事が できる場合、その社会的選択関数(今の場合は単純多数決)は 戦略的に操作可能であると言う。 ○二段階多数決 3人の個人1,2,3がいて、3つの選択肢x,y,zがあったとする。 最初に xとyの一つを多数決で選び、次にそこで選ばれたものとz の多数決で最良のものを選ぶ事とする。 さて、各個人が次のような選好を持っていたとする。 ・個人1: x >1 y >1 z ・個人2: y >2 z >2 x ・個人3: z >3 x >3 y この場合は、最初の多数決でxが選ばれ、2回目の多数決で、zが選ばれる。 もし個人1が偽って y >1 x >1 z という選好を表明すると、 最初の多数決で y が選ばれ、2回目の多数決では y が選ばれる。 個人1にとっては、z より y の好ましかったので、 偽りの選好を表明する事により、より好ましい結果をえられた事になる。 つまり、上記のような二段階多数決の方法は戦略的に操作可能である。 ○ボルダルール 次のような社会的選択ルールを考える。 4つの選択肢 x,y,z,wがあるとする。 各個人は 1位の選択肢に3点 2位の選択肢に2点 3位の選択肢に1点 4位の選択肢に0点 をつけ、投票する。そしてこれを集計し、もっとも得点の多い選択肢を 社会的選択とする 3人の集団として、各個人が次のような選好を持つとする。 個人1: x >1 y >1 z >1 w 個人2: w >3 x >2 y >2 z 個人3: w >3 x >3 y >3 z この時、x:7点, y:4点, z:1点 , w:6点となり、 x が選ばれる。   ここで個人3が自分の選好とは異る w >3 y >3 z >3 x に基づいて投票すると、 x:5点, y:5点, z:2点 , w:6点となり、w が選ばれる。 このように、ボルダルールによる投票も戦略的操作可能である。 ギバード・サタースウェイトの定理は、 「戦略的に操作不可能な社会的選択関数は独裁的なものに限られる」 という事を主張している。 ○ギバード・サタースウェイトの定理(Gibbard- Satterthwaite Theorem)
・仮定1:社会的選択関数についての仮定
各個人の選好に応じて社会的選択が決まるのであるが、 選択肢の中には各個人がどのような選好をしても、選ばれないような 選択肢があるようなケースも考えられる。 (極端な話、選択肢がx,y,zの3つがあるが、人々がどのような 選好をしても必ず xを選ぶような社会的選択関数も考えられる) ここでは、各個人の選好によっては選ばれる可能性のある選択肢は 3つ以上あるものとする。
・社会的選択関数における独裁者 社会的選択関数における独裁者を次のように定義する。 独裁者:ある特定の個人にとっての最上の選択肢 (つまり、その選択肢より好ましい選択肢がないもの)が、 必ず社会にとっての選択肢になるような場合、その個人を独裁者と呼ぶ。 ギバード・サタースウェイトの定理 個人の選好が完備性、反射性、推移性を満たしている時、 条件U(人々の選好についてはいかなるものも許される)および 仮定1を満たす戦略的に操作不可能な社会的選択関数には独裁者が存在する。 この定理はアローの定理の社会的選択関数版であると言える。 ○証明の概略 戦略的操作不可能性はかなり強い要請で、これから次の事が証明できる。 1.(一般化された)単調性 ある選択肢 xが社会選択関数によって選ばれていたとする。 この時、選択肢yについて、構成員を3つのグループにわける。 グループG : x >i y グループG' : x 〜i y グループG'': y >i x さて、このとき、各構成員が次のように選好を変化させたとする。 グループG : x >i y 、それ以外は任意 グループG' : x >i y 、それ以外は任意 グループG'': 全く任意 この場合、選択肢yが社会的選択関数によって選ばれることはない。 ---- これは、、前者の状態と後者の状態をくらべると、 前者でxをyより好むひとは、後者でもやはりxよりyを好んでいる。 つまりは、xよりyを好む人のメンバーは拡大しているのであるから、 このような時に社会的な選択は x からyに変わる事はない、という事を言っている。 2.パレート原理 上記を用いれば、以下の「パレート原理」が証明できる。 ある選択肢x,yについて、 構成員全員が x >i y であるならば、選択肢yが社会的選択関数によって 選ばれることはない。 ▽証明 選択肢xが社会的に選ばれている状態を考える この時、全員が x >i y となるように選好を変化させたとする。 すると「単調性」よりyが社会的に選ばれる事はない。 ここで、アローの定理の証明に用いたのとよくにた概念を定義する。 ・グループGが選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的である。 グループGの構成員全員が x >i y であり、 グループGの構成員以外の個人全員が y >i x である時、 選択肢 y が社会的選択関数によって選ばれることはない。  これを D'(x,y) と書く。 ・グループGが選択肢のペア(x,y)について、決定的である。 グループGの構成員全員が x >i y であれば、 グループGの構成員以外の個人の選択肢に関わらず、 選択肢 y は社会的選択関数によって選ばれることはない。  これを D(x,y) と書く。 ・グループGは決定的なグループ グループGはあらゆる選択肢のペアについて、決定的である。 そして次の定理が証明できる。 ・あるグループGがある選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的であるならば、 そのグループはあらゆる選択肢のペアについて、決定的である。 つまり、グループGは決定的なグループである。 ▽証明 以下では簡単のために、選択肢が4つ以上あるケースを証明する。 (3つの場合は、後述) グループGがある選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的であるとする。 x,y以外の選択肢a,bを考える。また、x,y,a,b以外の任意の選択肢をzとする。 各個人が以下のような選好を持っている状況を考える。 グループGに続する個人i a >i x >i y >i b >i z グループGに続していない個人i y >i b >i a >i x >i z この場合、yが選ばれることはない。また、パレート原理より、 b,x,zが選ばれることもない。したがってaが選ばれる。 ところで、aとbの選択肢について、 グループGの構成員は a >i b、 それ以外は b >i a。 これに、「単調性」を用いると、 グループGの構成員全員が a >i b となる全ての状況において、bが選ばれることはない。 したがって D(a,b)、つまり任意の選択肢について、グループGは決定的。 ------------------- ▽選択肢が3つの場合の証明 グループGがある選択肢のペア(x,y)について、ほとんど決定的であるとする。 x,y以外の任意の選択肢をzとする。 各個人が以下のような選好を持っている状況を考える。 グループGに続する個人i x >i y >i z グループGに続していない個人i y >i z >i x この場合、yが選ばれることはない。また、パレート原理より、 zが選ばれることもない。したがってxが選ばれる。 ところで、xとzの選択肢について、 グループGの構成員は x >i z、 それ以外は z >i x。 これに、「単調性」を用いると、 グループGの構成員全員が x >i z となる全ての状況において、zが選ばれることはない。 したがって D(x,z) 次に、 x,y以外の選択肢のひとつをw、x,y,z以外の任意の選択肢をzとする。 各個人が以下のような選好を持っている状況を考える。 グループGに続する個人i w >i x >i y >i z グループGに続していない個人i y >i w >i x >i z このとき、グループGがx,yについてほとんど決定的なので、yが選ばれるとはない。 パレート原理より、xもzも選ばれない。したがってwが選ばれる。 ところで、yとwの選択肢について、 グループGの構成員は w >i y、 それ以外は y >i w。 これに、「単調性」を用いると、 グループGの構成員全員が w >i y となる全ての状況においてyが選ばれることはない。 したがって D(w,y) 以上より、 D'(x,y)→D(x,z)→D'(x,z)→D(w,z) となり、グループGは任意の選択肢w,zについて決定的となる。 ------------------------------ 最後にアローの定理と同様に ・人数が1人からなる決定的なグループが存在する が証明され、ギバード・サタースウェイトの定理の証明が完了する。 ▽証明 パレート原理より、構成員全体からなるグループは決定的なグループである。 ここで、決定的なグループのうち、最小のもののひとつを考え、 これをグループGとし、このグループの人数を2人以上からなると仮定する。 三つの選択肢x,y,wと、それ以外の任意の選択肢をzとする。 各個人が以下のような選好を持っている状況を考える。 グループGのある個人i w >i x >i y >i z グループGの他の個人j x >j y >j w >j z グループG以外の個人k y >k w >k x >k z グループGが決定的なので、yとzは選択されることはない。 もしwが選択されるとする。 すると個人i は w >i y それ以外は y >i w これに、「単調性」を適用すると、 個人iはw,yに対して決定的となるので、 個人iは決定的なグループとなる。 もしxが選択されるとする。 するとグループGの個人i以外 は x >i w それ以外は w >i x これに、「単調性」を適用すると、 グループGの個人i以外のグループは w,xに対して決定的となるので、 このグループは決定的なグループとなる。 これはグループGが最小の決定的なグループとしたことと矛盾する。 したがって1人からなる決定的なグループが存在する。 ○投票のパラドックス 投票ではいろいろパラドキシカルなことが起こる可能性がある。 x,y,z,wの4つの選択肢があるとして、 これを ・xとyの多数決 ・上記勝者とzの多数決 ・上記勝者とwの多数決 という順番で勝者を決める事を考える。 参加者が以下のような選好順位を持っていたとする。 個人1:x > w > z > y 個人2:z > y > x > w 個人3:y > x > w > z すると、 ・xとyの多数決 → yの勝ち ・上記勝者とzの多数決 → zの勝ち ・上記勝者とwの多数決 → wの勝ち となり、wが選ばれるのであるが、 すべての参加者にとって x > w であり、wは全員にとってxに劣るにも かかわらず、勝者になってしまう。