研 究 案 内

1. 課題の発見

概説書・研究書の多くは,参考文献あるいは参照文献を巻末に一覧として掲げていることが多い。これらは課題を発見するための手引きとして活用できる。20世紀中国政治に関連する研究案内として,以下の書籍が公刊されてきた。

中国近現代史をテーマとする卒業論文を執筆するための手引書として『中国近現代史研究のスタンダード:卒業論文を書く』(田中比呂志・飯島渉編,研文出版,2005)【同書は,「Ⅰ 卒業論文とはどんなものか」(中国近現代史研究の手順,研究史の整理,歴史研究と理論),「Ⅱ 課題設定のヒント」(中国近現代史をなぜ学ぶのか,日中関係史という枠組み,周縁からみた近現代中国),「Ⅲ 卒業論文の技法」(卒論で図書館・文書館を使いこなす,歴史統計を読んでみる,卒業論文とインターネット)から構成されている。】が,さらに修士論文・博士論文を具体化する指針として『21世紀の中国近現代史研究を求めて』(飯島渉・田中比呂志編,研文出版,2006)出版された。両著は,大学生・大学院生がどのように研究課題を発見しさらにどのようにすればそれを具体化・深化させることができるのかという点に焦点をあてながら,各執筆者が中国近現代史研究の現状と課題について踏み込んだ叙述を展開している【同書の構成は,「Ⅰ 方法をめぐって」(研究成果を公表する,先行研究と向き合う,档案の公開とその利用),「Ⅱ 思想をめぐって」(通史と歴史像,歴史・理論・言葉),「Ⅲ 制度をめぐって」(明清史研究と近現代史研究,現代中国研究からの提言,外国史研究としての中国近現代史研究,“全球化”と日本の中国近現代史)である】

また,(1)『アジア研究』(アジア政経学会,季刊),『アジア経済』(アジア経済研究所,月刊)などのアジア学関係学術誌;(2)『歴史学研究』(歴史学研究会,月刊),『歴史評論』(歴史科学協議会,月刊),『史学雑誌』(史学会,月刊),『東洋史研究』(東洋史研究会,季刊),『社会経済史学』(社会経済史学会,双月刊)などの歴史学関係学術誌;(3)『現代中国』(日本現代中国学会,年刊),『中国研究月報』(中国研究所,月刊),『近きに在りて:近現代中国をめぐる討論のひろば』(半年刊),『中国:社会と文化』(中国社会文化学会,年刊),『中国21』(愛知大学現代中国学会),『現代中国研究』(中国現代史研究会,半年刊)などの中国学関係学術誌を図書館などで通覧する(「目次」に目を通す)ことによって,最新の研究状況がどのようなものであるのかをイメージできるであろう。その際,これらに掲載された「書評」にも注目したい。評者による研究動向の概括とそれをふまえた評書に対する批判的コメントは,課題の発見のヒントとなりうるからである。『史学雑誌』の5 月号は「200*年の歴史学界:回顧と展望」と題する特集号で,前年に発表された歴史学関係の専著・論文をサーベイしつつ各分野における研究上の潮流・論点を提示する。

『中国関係論説資料』(論説資料保存会,1965 -)は,研究所・大学などが発行した定期刊行物に収録された中国関係論文のリプリント版である(第1分冊:哲学・宗教,第2分冊:文学・語学,第3分冊:歴史・政治・経済Ⅰ,第4分冊:歴史・政治・経済Ⅱ)。研究課題がある程度具体化した段階で,関連分冊の「目次」部分を通覧することは極めて有益である。また『複印報刊資料』(中国人民大学書報資料センター)は,『中国関係論説資料』の中国版というべきもので,中国各大学の紀要類で発表された文科系の関係論文をテーマごとに冊子体にしたものである。1995年以降,同資料はデータベース化されてCD-ROMとなり本文の検索が可能となった『複印報刊資料選題全文数拠光盤』(中国語OSの環境が必要である)】

2. 文献の探索

NACSIS Webcatは,全国の大学図書館等が所蔵する図書・雑誌の総合目録データベースをWeb上で検索できるシステムで,国立情報学研究所(NII)が提供する目録システム(NACSIS-CAT)を通じて,参加図書館が共同作成している(2002年3月現在のNACSIS-CATへの接続機関は979機関,図書所蔵登録件数は5937万件である)。大学図書館のNACSIS-CATへの登録件数と館内オンライン登録件数との間に大きな差がある現状からすれば, NACSIS Webcatとそれぞれの大学図書館のOPACとの併用がのぞましい。これに対してNACSIS-CATへの登録件数は, 15.8万件である(2002年3月現在))。また,大学図書館のホームページの多くに「リンク集」が設けられているが,これらは文献検索のための有益なツールである(たとえば,北京大学図書館の「リンク集」には,中国国内の図書館192館の一覧がある(「相関鏈接」→「国内在線図書館」,2003年4月22日))。

NDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索申し込みシステムは,同館が所蔵する(1)和図書272万件,洋図書31万件,和雑誌新聞11万件,洋雑誌新聞5万件,電子資料1万件,古典籍5000件,博士論文28万件など;および(2)雑誌記事索引569万件を検索できる(2003年4月現在)。また国立情報学研究所のGeNiiは,我が国の学術雑誌に掲載された論文について,論文名や著者名,巻号,ページ等を収録している。

『東洋学文献類目』(1963-,京都大学人文科学研究所附属東洋学文献センター)は東洋学に関する論文と単行本を年次ごとにまとめ,内容によって分類した網羅的索引である。1981年度版以降はデータベース化され,Web検索が可能になった(詳細)。

東洋文庫現代中国研究資料室・デジタルリソースリンク集は,現代中国研究に関するデジタル資料の所在についての情報を共有することを目的としたリンク集である(詳細)。

次に,文献検索に活用しうるサイトを掲げる。

  1. Amazon.co.jp.
  2. CP1897商務網上書店
  3. 凱希メディアサービス
  4. Books.or.jp【本をさがす】
  5. 日本の古本屋

1.と2.はアマゾンと香港商務印書館のサイトであるが,それぞれ洋書と中国書の検索として利用できる。3.は中国の映像・電子資料を豊富に扱っている。4.は日本書籍出版協会のデータベースで,国内で発行され入手可能な書籍62万冊の検索ができる。5.は東京都古書籍商業協同組合インターネット運営委員会が運営しているサイトである。中国では,中国国家図書館(北京)を中心に地方図書館に散在する近代定期刊行物の整理とそのマイクロフィルム化が行われたが,その多くは入手可能である【『マイクロフィルム資料総合目録:中国近現代新聞・雑誌、資料』(東方書店,2002)には,「清末・民国時期刊行新聞雑誌」7069件,「建国以後発行新聞」866件が収録されている】

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台湾・国家図書館台湾・国家図書館(http://www.ncl.edu.tw/)の検索ページは極めて有益である。というのも,単に館蔵の図書・雑誌が検索だけでなく,台湾における修士・博士論文および雑誌論文の検索が可能となっている。修士・博士論文検索では,論文の目次・概要・使用参考文献までもが表示されるという親切さである。これは当該分野の先行研究の動向整理が行われており,文献検索においてもおおいに役立つ工具となっている【山本真「台湾における日中戦争史の研究動向」】

3. インターネットの利用

 

CNKI中国学術情報データベース(China Academic Journal, Newspaper and Dissertation Database)は,1994年以降に中国の学術雑誌(7600誌)に掲載された論文,および2000年以降の新聞(400紙)・学位論文(250機関)および学術会議提出論文などをデジタル化したものである。このデータベースはプリペイド式カードを用いたダウンロード・サービスも行っており,20世紀中国政治史研究に関する中国の研究動態を把握するための不可欠なツールとなりつつある。

アジア歴史資料データベースは,国立公文書館・外務省外交史料館・防衛庁防衛研究所所蔵の資料群をデジタル化し公開している。DjVu形式による画像ファイルのデータ資料で,その閲覧・印刷には「DjVu Browser Plub-in」が必要である。


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