原典で読む20世紀中国政治史

白帝社,2007年10月,第3刷(品切)

はじめに

20世紀中国政治の最初の10年間は,B.C.221年に始まり2100余年にわたる中華帝国時代の最後の10年であり,この意味では,1912年は共和制時代への歴史的転換点である。また,20世紀のなかばに位置する1949年をはさんで,その前が中華民国時代,その後が中華人民共和国時代である。中華民国時代は,国家権力を掌握していた勢力の違いによって,1928年をもって北洋軍閥時期(前期)と国民党時期(後期)に区分しうる。この1928年という年は,<党軍>としての国民革命軍によって国家権力を奪取した中国国民党による一党統治の開始であった。こうして始まった<党国時代>は,1949年,中国共産党の<党軍>たる人民解放軍の勝利によってその担い手が国民党から共産党に代わったものの,現在まで続いているとしなければならない。

現在,20世紀後半の中華人民共和国時代を1978年で二分し,それ以前を毛沢東時代(<革命>の時代),それ以後を鄧小平時代(<改革と開放>の時代)とする捉え方が一般的である。1989-91年における東西冷戦構造の解体,および十数年来の中国経済の市場化とその発展に起因する国家・社会関係の変容は,21世紀にはいると,階級政党としての共産党に国民政党への脱皮の試みを促すことになった。

本書は,こうした20世紀中国政治の軌跡を,新世紀における中国共産党の役割を「3つの代表」論によって明示しようとした2002年の中共16全大会決議から,孫文が清朝末期に共和制中国を構想した1905年の「軍政府宣言」にいたる20の「原典」を,時間を遡りつつ再構成しようとしたものである。

「緒論」につづく各章は,「概観」,中国語テキストとその日本語訳,「用語解説」,および補論としての「note」と「図」「表」「参考」から構成されている。本書のすべての項目に典拠を掲げておいた。これらを巻末の「参照資料」や「資料解題」によって確認し,さらにいくつかの資料を実際に手にすることは,課題の発見とほりさげた検討に向けての端緒となるにちがいない。 【目次

本書の構成


緒論
テキスト
1 国民政党への脱皮の試み2002
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
2 鄧小平,最後の決断1992
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
3 天安門事件1989
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
4 香港返還問題の妥結1984
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
5 中華人民共和国憲法1982
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
6 毛沢東評価の確定1981
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
7 「改革・開放」時代へ1978
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
8 日中関係の正常化1972
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
9 「動乱」の時代1966
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
10 共産主義のユートピア1958
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
11 中華人民共和国の成立1949
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
12 蒋介石と毛沢東の握手1945
テキスト 課文 簡体字課文 ピンイン 語釈 朗読
13 中国革命論の確立1940
テキスト 課文 簡体字課文 ピンイン 語釈 朗読
14 日中全面戦争と対日抗戦1938
テキスト 課文 簡体字課文 ピンイン 語釈 朗読
15 抗日民族統一戦線の提起1935
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
16 南京国民政府の成立1928
テキスト 課文 簡体字課文 ピンイン 語釈 朗読
17 「国民政府」による国家建設1924
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
18 伝統的秩序への挑戦1915
テキスト 課文 簡体字課文 ピンイン 語釈 朗読
19 中華民国の成立1912
テキスト 課文 簡体字課文 ピンイン 語釈 朗読
20 「革命」の構想1905
テキスト 課文 ピンイン 語釈 朗読
参考資料,あとがき
繁体字と簡体字 標点符号について 版本の問題 20世紀中国のあゆみ 研究案内 資料解題 参照資料 索引 あとがき



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