現代「中国」の社会変容と東アジアの新環境

  • 平成17年度大阪外国語大学研究プロジェクト(特別研究2)
  • 研究区分:地域研究
  • 研究代表者:田中仁(外国語学部・教授)

    目的・概要

    1. 本プロジェクトは,変容しつつある現代「中国」の実態とそのイメージを東アジア(ここでは東南アジアと東北アジアを合わせて「東アジア」とする)の新環境との関連において多面的に検討することによって,日本は「中国」とどう向き合うべきかについて,いくつかの有効な処方を提示することを目的とする。
    2. 「大阪外国語大学・中国文化フォーラムのホームページを軸として,サイバースペース上に「中国」の変容と東アジアの新環境に関する様々な論点を題材とした「ワークショップ・システム」を展開する。その際,「中国文化」(歴史・政治経済・社会など)を専攻する学部生・大学院生と,教員および卒業後他大学や研究機関で研究活動に従事しているOB・OGとの有機的連携を実現・強化に努力する。
    3. 「中国」の変容と東アジアの新環境に関して現地調査を行うとともに,北京大学国際関係系・南開大学歴史学院などの研究者と本プロジェクトに関する研究交流を実施する。
    4. 各研究分担者のテーマから,中国地域研究の新領域を展望するために,「中国」の空間的拡がりと歴史的射程,および他地域との比較可能性という観点から研究動向のサーベイを行う。10月,「日本は"中国"とどう向き合うか?」をテーマとするセミナーを開催する。
    5. 本研究プロジェクトを単なる研究者のための研究に終わらすことなく,教育的な側面を持たせるために,大学院生を中心とする研究合宿「中国文化コロキアム」(7月),学部生を主たる対象とするセミナー(来年度4月)の開催を計画する(地域研究コンソーシアム支援事業に応募する)。

    特色・意義

    1. 本プロジェクトの特色は,a.「中国」を中華人民共和国と等値せず,<多元的多民族社会と華人社会>という空間的拡がり,および<近現代の軌跡,前近代からの逆照射>という歴史的射程から捉えること;b.東西冷戦構造の解体から新国際秩序の模索の過程において顕在化した「中国」のインパクトを,競争・共生・共同あるいは摩擦・対立・対決というような日本のとるべき立場と態度との緊張関係を意識しつつさまざまなディシプリンを駆使して討究することにある。
    2. 同時にそれは,本学において,a.大学院生と学部生がそれぞれ類似した問題関心をもち真摯に研鑽をつみながらも,相互に刺激しあうような「空間」が欠如していること;b.本学における地域研究の充実がいま切実に問われていることをふまえて,「中国文化」を切り口としてその学内横断的研究・教育の具体的プログラムを追求したい。
    3. 研究成果をホームページ上で公開するとともに,今後,本格的出版を実現するためのコンテンツを蓄積する。

    その他参考事項(従来の経過、現状等)

    1. 2004年8月,中国・内モンゴル大学において「中国近現代史研究国際学術交流」を開催した。
    2. 12月,「大阪外国語大学・中国文化フォーラム」のホームページを公開した。
    3. 2005年4月,地域研究コンソーシアムの公募企画アンブレラプログラムとして,セミナー「中国地域研究の新たな可能性:21世紀中国地域研究の新たな学知」を開催した。
    4. 5月,大阪外国語大学・地球大学参加し,同セミナーの内容を紹介した。
    5. 十年来,中国文化を専攻する大学院生による定例研究合宿「中国文化コロキアム」を実施してきた。

    研究組織

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