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研究会概要

■ 大阪大学大学院法学研究科/関西経済同友会「交流研究会]  2005.02.17

 2005年2月17日(木)の19時から、大阪大学中之島センター9F会議室1にて、第3回大阪大学大学院法学研究科/関西経済同友会「交流研究会」を開催いたしました。今回は、私たちの研究グループが用意した素材にもとづいて、ブレーンストーミング的なディスカッションを行わせていただきました。 

私たちがディスカッションを通じて追求しようとしていたことは「いかにトラブルを少なくして効率的な職場を実現するか」という課題でした。最初に、研究グループの水島郁子助教授(労働法・社会保障法)に、日本郵便逓送(下車勤務等)事件(京都地裁平成16年7月15日判決)をアレンジして作った仮設的ケースを提示していただきました。それは、職務怠慢によって取引先ならびに勤務先であるB社に迷惑をかけた従業員AにB社が始末書の提出を求めたところ、Aに反省の色が見られないためB社はAに会議室勤務を命じ、とくに就労をさせないままその状態が3ヶ月にも及んだ結果、Aが心身症を発症するに至ったというようなケースでした(少し内容を省略してあります)。

一見極端なケースと思われるこうした「内々の処分」ないし「人事罰」も、古いタイプの会社では「極端な仕打ち」と見なされないこともありうること、そうした処分であっても、きちんとした就業規則に基づき適正手続のもとに処置をしておけば問題にはなりにくかったであろうこと、従来ならば給与を保障したうえで組織内部のルールに基づいて「内々の処分」が行われてもそれが問題になる余地は少なかったが、最近の社会の変動は激しく、「就労の機会を与えないこと」それ自体で従業員の人格権を侵害していると見なされる場合が増えていることなど、興味深い指摘がなされました。

次回には、私がケースを用意します。周囲の従業員の悪気のない不作為の積み重ねの結果、人のよい優秀な従業員に仕事が集中し、その従業員が加重労働に陥る結果、心身症を発症したり、過労死に至ったりする仮設的なケースを提示し、それにもとづいてディスカッションすることができればと考えています。次回も充実したディスカッションになることを期待しています。

(都合により第3回研究会のみ紹介しますが、第1回から第5回まで開催されています)