MIFAプロジェクトは、「国際家事メディエーション」について、国際私法・国際民事手続法上の課題を洗い出し、解決策を探し出すことを目的としています。正式名称は、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)「ハーグ条約の『友好的な解決』-国際家事メディエーションをめぐる国際私法上の課題」(課題番号:16H03550)です。
「国際家事メディエーション」とは、日本の家庭裁判所で行われている家事調停とは異なり、欧米型のメディエーション(Family Mediation)システムに基づくものをいいます。日本でも、2014年から発効している「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(ハーグ条約)に基づく子の引渡し・面会交流にかかる「友好的な解決」を促進すべく、民間のADR機関による国際家事メディエーション制度が導入されることとなりました。
しかし、現状として、ハーグ条約に関連する紛争において国際家事メディエーションを利用するにあたっては、様々な問題点があります。具体的には、ハーグ条約上、(1) 子どもの現居住地国に親権・監護権に関する裁判管轄を一切与えないこと、また、(2) 子どもの引渡しや面会交流を判断する際の国際私法規範が元居住地国の国際私法であること、国際家事メディエーション一般において、(3) 準拠法の許さない合意をしてしまう危険性が高いこと、手続面では、(4) 外国語を通じた手続による弊害が発生しうること、(5) メディエーターの資格問題が挙げられます。
そこで、本プロジェクトでは、比較法調査と国内外の実務家との連携によって、上記の問題点に対する解決策を探り、理想的な国際家事メディエーションシステム(日本型モデル)を提唱することを目指します。
なお、上記研究費補助金は2019年度に終了しましたが、MIFAでは引き続き上記に関する研究を続けていくと共に、これまで行ってきたメディエータートレーニング講座やシンポジウムを通じて日本での家事メディエーションの普及に努めていきます。
本ホームページでは、講座の開講やシンポジウムの開催をご案内します。