2011年1月13日ロイヤリング講義

講師:弁護士 和田 誠一郎 先生

                            文責 林 良樹

 

イベントとコンプライアンス

 

1、初めに

私は、阪大出身で、弁護士になって33年目です。この校舎は当時からあり、懐かしいです。

今日の内容は、イベントとコンプライアンスです。レジメはないので、脱線しつつ話していこうと思います。

 

2、コンプライアンスについて

コンプライアンスという言葉は、最近マスコミでも頻繁に使用されていますね。例えば、企業の不祥事などです。大きな意味では、「法令、法規を守ろう」ということです。コンプライアンスという言葉が登場した例としましては、食品の偽装問題があります。1990年前後、証券会社の不祥事があり、経団連の企業指導にコンプライアンスという言葉が初めて登場しました。ただ不祥事が相次いだからだけではなく、法律性と効率性が重視される経済が成熟し、人々の価値観も変わり、1990年頃にコンプライアンスが重視されはじめました。 

 現在は企業、組織としてコンプライアンスを守っていこうという流れがあります。まだ不祥事は起きますが、不祥事を起こすと刑事罰や社会からの退場措置があります。例として吉兆などがあります。

犯罪は社会規範に違反しているので、誰もやってはいけないと知っています。しかし、しがらみなどで防止できません。そこでステム的に、コンプライアンスを守れるように組織化しようとしています。オーダーメイドで、実際担当の社員が底上げしてルールを作らなければなりません。構成員が価値を共有することが大切です。

コンプライアンスの一つの定義として「社会の構成員として求められる倫理を誠実に守る」ということがあります。コーポレートガバナンスと似ています。

コンプライアンスの内容を、四段階にわけることができます。

 

慈善事業的責任

倫理的責任

法的責任

経済的責任

 

3、イベントとコンプライアンス

 イベントに弁護士が関わるのは、例えば御堂筋パレードなど、誰でも好きにできません。警察に占有許可を得たり、信号を止めたりしなければなりません。そこで弁護士が必要になります。

私は、様々なイベントのプロデューサーをしています。イベントの仕事は、会場を借りて、音響調整をして、パワーポイントを作り、マイクを用意して、お昼ご飯を用意し、火事の対策をして、ゲストを迎え、掃除をするなど様々な仕事があります。このようなイベントのコンプライアンスのマニュアルを作成しています。当日も裏方にいます。このように、弁護士は活動する範囲が広く、面白いです。

また私は上海万博、日本産業館の法律顧問を務めてきました。私の仕事としましては、出店してもらう企業との出店委託契約を締結します。またLLC(合同会社)を設立します。さらには合同会社の就労規則を作成します。また中国との関係調整があります。

出店企業の募集は大変でした。大小かかわらず企業に、万博の面白いことやメリットをアピールして回り、二年間かけて出店社を探しました。多くの企業には、メリットがないと断れました。

例えば、大阪大学においては法人として、コンプライアンスは長い蓄積でできている。一方イベントは寄せ集めです。責任の押し付け合いがありますので、コンプライアンス作成には気をつけなければなりません。

例えば、花火大会・盆踊りのコンプライアンスです。夜には大勢の人が集まります。駐車場の確保、未成年者の夜間外出、屋台(出店チェック)、アルコールや食品販売について、問題があったとき誰が責任を負うのか。町内会は、権利能力なき社団にあたりますが、問題が起こったとき、誰が責任を負うのでしょうか。お金を扱うので、誰かが持って逃げたら、誰が責任を負うのか。どのような問題がどのように起こるのかわからないので、イマジネーションが大切です。

まちつくりの参加者としましては、行政や市民グループ、商工会議所などがあります。街作りの団体は目的を達成したら解散します。

ところでイベントの成功とはなんでしょうか。何事も問題もなくきちんと終わることが大切です(消極的な成功)。

万博も無事終了しましたが、外国なので、何が起こるのか予測可能性はない。中国人を何百人も雇います。パワハラ、セクハラなどのトラブルがいつ起こるかわかりません。

万博で大変だった仕事を具体的に話します。出店を募集して日本航空に出てもらうことになりましたが、日本航空は会社更生法が適用されました。管財人は契約を解除できるので、解除しないように交渉しました。会計上の問題として、中国の税法の壁がありました。

尖閣問題発生後、万博では言葉による対日抗議はあったが、組織的な問題はありませんでした。

万博の仕事が終了するのには、あと半年程かかります。建物の取り壊しや、従業員を期限満了で解雇しなければなりません。 

また私は全国高校ダンス選手権にも関わっています。大阪城で踊りをしている団体の顧問をしています。団体を他のイベントのプロデューサーに紹介したり、テレビに出演する手筈を整えたりしています。

さらに園田競馬の仕事をしていますが、園田競馬に人が来るように、ナイター設備やゆるキャラの設計などを考えています。 

先程も述べましたが、イベントに特徴なのは一過性です。そこで、イベントの責任が不確定にならないように明確化しなければなりません。

まずイベントの主催者を確定し、組織の事務分担(公報、総務、安全、営業担当)を確定して責任を明確にします。そして基本的なコンプライアンスをつくります。少なくとも法律的責任を明確にします。マニュアルがあるので利用したらよいです。(イベント用のコンプライアンス資料はなかなかないので、時間があれば作るかもしれません。)

違反があったらどうしましょうか。きちんと行動を書いておきますと、誰がしたのか、また、したのか、しなかったのかが明確になり責任が明らかになります。全員に何度もコンプライアンスを読んでもらうことが大切です。コンプライアンス修正担当も決めなければなりません。

イベントを通じて社会に貢献しようとしたら、慈善的責任に合致します。イベントでは、人権尊重、差別禁止を軸に反環境的・反社会的組織に対応しなければなりません。反社会的組織は、警察に頼むと、すぐに退散します。

 

4、イベントと法律

イベントにどのような法律が関係するでしょうか。警察法によると、イベントでは警察署の指導が必要です。また当然、刑法 軽犯罪法、遺失物法 青少年条例のチェックをしなければなりません。さらには消防法、高圧ガス取締法などがあります。保健所に関する法律・条例もあります。そして労働基準法や建築基準法など。あげたら切りがありません。

実際にイベントを実行するときには、保健所・警察・消防署などで相談して指導を受けます。例えば、道路を交通目的以外で使用するには許可が必要ですが、国道なら国道事務所、県道なら県に相談します。 

 以下、イベントに関わる法律をあげます。

イベントには、警備、交通誘導員が必要です。

・明石で事故がありましたが、道路はかならず一方通行で対面はいけません。また主催者による自主警備は難しいので、公安委員会で認定を得た外部警備が必要です。

・遺失物法では、遺失物を見つけたら警察に届け出ることになっています。

・未成年(深夜11〜4時)は条例で外出が禁止されています。カウントダウンなどでは、よくよく条例などをチェックしないと共犯になるかもしれません。

・館内のイベントでは、避難経路には、2方向以上必要でなるべく段差がないようにしなければなりません。劇場では、椅子を固定しなければならない。

特殊効果(ドライアイス・高圧ガスなど)は使用に規制があります。

・缶ビール、蓋を開けず渡すと蓋をしめて渡すのは規制が異なります。

安全衛生責任者が必要です。

・高所作業では特別に労働災害保険の対象になりますので、有期の保険料を払う必要があります。

・上海万博では長期労働で、過労死の危険性があるので責任者を決めておきました。

・高齢者や障害者が参加しやすいように、福祉の街づくりなどが求められます。これはコンプライアンスの一つです。

・公園も許可が必要です。

・神社使用を使用する場合は文化財保護法を見ます。

・バスを増便して行う運送をする場合は、国土交通法の許可が必要です。

・景品表示法、独占禁止法などの規制もあります。

・民法(イベントは請負契約)瑕疵担保責任 

・個人情報保護法 団体が解散すると個人情報を破棄します。破棄担当を決めておきます。

・著作権法など、著作県侵害に気をつけなければなりません。

・外国人を呼ぶイベントでは、不法入国に気をつけなければなりません。

・トランシーバーを使用するときは、電波法に気をつけねばなりません。

・その他、所得税法 ワシントン条約など

どのようなイベントで、どのような法律が必要か体系がないので、自分で考えます。これは楽しい。

 

5、終わりに

以上で講義を終えます。もしイベントをしている方で、困ったことなどがあれば、話してください。惜しみなく、みなさんにアドバイスします。今日はありがとうございした。