20101021日ロイヤリング講義

講師:弁護士 福田健次先生

                                 文責 林良樹          

              「弁護士会務あれこれ」

 

1、 まずは自己紹介をします。

 福田健次といいます。昭和50年に阪大に入学、59年に司法試験に合格し、司法修習は36期です。弁護士は27年しています。現在は、堂島法律事務所で働いています。ロイヤリングで、おそらく競馬の話をしていた、的場弁護士と同じ事務所です。そしてこの3月まで、大阪弁護士会の副会長をしていました。

 ロイヤリングの講義には、私は初めから関わってきました。このロイヤリングは、普段法律家とあまり接触がない学生が、将来、実際弁護士(法曹)になったり、企業で弁護士に関わったりしますので、法律家と触れるきっかけになったり、弁護士(法曹)を目指すきっかけになればいいと思い作りました。私は、これまで毎年一回は何らかの形で、阪大で講義をしてきました。せっかく法学部に入ったのだから、弁護士を身近に感じてもらい、実務に触れてほしいからです。それでは、講義を始めましょう。

 

2、講義

 1)強制加入制度

  弁護士会は、強制加入団体で、弁護士の仕事をするには、必ず加入しなければなりません。司法試験を受かった人なら、まず加入できますが、大学の先生などが弁護士になった場合などは審査があります。

  先日、大阪の弁護士が覚醒剤所持で捕まりましたが、あの弁護士は、前にも同じような事をしていて、一度大阪弁護士会を追い出されています。悪いことをしたら、退会命令や除名を出します。なぜ、弁護士会に、それ程の強い権限を与えたかというと、弁護士会の自治権に不可欠だからです。弁護士の数が増えてきた今日では非常に大切です。また、ロースクールでも、法曹倫理の授業があります。

 

 2)弁護士会

  弁護士会の数は、基本的に各都道府県に1つずつあり、北海道には函館、旭川、釧路、札幌の4つ、東京には3つあります。これが、単位会です。全部集まって、日本弁護士連合会で、地域に集まったのが、弁護士会連合会で、8つあります。

  弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする公的法人です。

 

  3)弁護士会内の委員会

  委員会の名前は、別紙の通りです。

  (4,5)懲戒委員会、5綱紀委員会

 先ほど、言った、悪いことをした弁護士を処罰する委員会です。  

 

  (6)人権擁護委員会

弁護士は、人権を守るのが第一ですので、その仕事については、人権擁護委員会がやります。今でしたら、子供の貧困や虐待について仕事しています。また、男女共同参画などは、もともとは人権擁護委員会の専門用語でした。

 

(7)司法修習は、今は1年間、修習期間があります。

 

(8)司法委員会 

裁判所や検察官との問題などいろいろと問題がありますが、この委員会から、外に出ていったのが、たとえば57番民法改正委員会、改正は後何年かかかります。しかし今は法改正の速度が早くなっています。例えば会社法など。ただ民法は、条文も多いし、すぐにはいきません。みなさんの司法試験時には、改正の形が出ています。みなさんは、どういう箇所が改正されるか知っていたら、司法試験の役に立つし、社会に出てからも役にたちます。

 

(9)推薦委員会

様々な所に推薦しています。

小沢さんの事件では、弁護士が検察官役をします。そういう検察官役を推薦します。あれは第二東京弁護士会。東京では三つの弁護士会で回しています。

検察審査会は、指定弁護士の前に、補助員の弁護士さんがいます。そういう役割も推薦します。

 

(10)紛議調停委員会

依頼者と弁護士、相手方と弁護士の紛争は、裁判所に行く前にここで調停します。

 

(11)総合法律相談センター運営委員会

昔は、依頼者は、知り合いから紹介してもらって、弁護士会は、依頼者を集めることに何もしませんでしたが、今は、ここが結びつけてくれる。これは、弁護士が自分で依頼者を集めてくることの邪魔ではないかという意見もあります。確かに地方では邪魔です。依頼者を紹介してくれるのはいいけど、この委員会の報酬の基準が低いというのも問題です。

最近たくさん弁護士が増えたけど、今でも、知り合いに弁護士がいるのは少ない。だから、相談が増えるのは必然です。ただ、日本の人の雰囲気が、裁判や法的機関に頼りたくない。相談所を作っても、あまり増えていません。

 

(17)民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会 

今年横浜の弁護士が殺されましたね。もともとは、右翼が弁護士事務所を囲むことがありました。それに対抗するための委員会です。

 

(18)公害対策・環境保全委員会

この委員会は、大阪空港の公害事件を担当していました。今は、空港は朝7時〜夜9時までしか飛ばしません。騒音公害を含め、公害問題は昭和40年代からずっとありました。

またイタイイタイ病などあったので、その対策をしています。

ただ今は、国も公害対策をしているので、件数は少ないですが、まだ問題ある。今はCO2問題とかやります。新聞を読んで、どういう問題が公害問題にあるのかを、知ってほしい。

 

(19)刑事弁護委員会

去年の5月までは、起訴された人、被告人の段階でしか国選の弁護人がつかなかった。

今は、必要的弁護事件の被疑者段階から国選弁護人がつくようになった。

 

(21)弁護士業務改革委員会

弁護士の業務をどう増やすか考えています。例えば、中小企業とどう関わるかなどです。

 

(22)研修委員会

弁護士は一度なれば、更新制度がありません。そういうわけで全然勉強せず、能力が落ちていくことがあります。また法律がよく改正されます。そこで、研修に力を入れています。

毎年、10単位(10時間)研修受けないと、「研修せよ」と勧告されます。

また、専門研修があります。交通事故や医療事故など。専門研修受けた人にだけ、そういう事件を回します。弁護士の力が低下して、被害を受けるのは依頼者であります。自己責任ではなく、弁護士会で、学ぶ場を提供します。

 

(25)高齢者・障害者総合支援センター運営委員会

弁護士会ではひまわりと言っています。この分野はとても難しいです。高齢者が多く、親子関係希薄。高齢者を守らないといけません。高齢者が判断できなくなったら、後見の制度などがあります。今は司法書士が頑張っている。

高齢者の財産を保護するのが、後見人の本来の目的ですが、今は、手術を受ける人など、本人に代わって、後見人が果たして承諾できるかなどが問題になっています。

刑事事件の責任能力が問題になりますが、責任能力がないのに、刑を受けている人はままいます。

責任能力のない被告人はたくさんいます。今までこういう問題を逃してきましたが、こういう問題の対策をしないといけません。

 

(27)市民窓口運営委員会

一般市民の方が、弁護士とのトラブルや苦情の相談をします。

 

(28)法七十二条等問題委員会

非弁といって、弁護士でない人が弁護活動する等の問題を処理することがあります。

こういうのは、弁護士法72条で禁じられています。今では過払金の問題(司法書士や弁護士)が多いです。そういうお客さんを弁護士にまとめて紹介して、ピンはねするのがいます。

 

(29)遺言・相続センター運営委員会

高齢者が増えていいて、きちんとした遺言を書くことに力を入れています。遺言があれば遺言が、法定相続より優先します。

こういう相続をめぐる裁判では、人間関係がドロドロするので、問題が起こるのを未然に防ごうとします。例えば遺言などをつくって、後々問題が起こらないようにします。

 

(30)交通事故委員会

昔は、交通事故の損害賠償が多かった。今は、少なくなっています。交通事故の被害にあったら、保険会社がでてきます。保険会社の基準より、弁護士をつけて、裁判をした方が、基準が高くなります。多く貰った分から、弁護士費用を払えばいいので、絶対損しない。マスコミは、損保会社から、お金をもらっているので、このことを言えない。

 

(32)消費者保護委員会

悪徳商法に対処します。これは手を変えてやってくるので、永遠になくなりません。

 

(33)子どもの権利委員会

若い人には、人気がある委員会です。

 

(35)国際委員会

渉外事件などを担当します。みなさんが社会に出るころには、もっと国際化するはず。大阪では、アメリカや欧米より、中国やベトナムなどの問題が多いです。向こうの法律がわかっていないといけません。国際分野に興味をもってもらいたいです。

 

 

(37)公設事務所運営委員会

地方では、法律事務所が少ない所に公設事務所を作る。

今は、ゼロワン地域はほぼありません。ただそこに弁護士が行きすぎたら、余ってしまうという問題がありますが、なかなか行かないね。

 

(38)大阪拘置所建替問題対策特別委員会

都島に、拘置所があります。高級マンションがあり、拘置所が丸見えですが、弁護士も近いほうが便利です。今、建て替えていまして、その問題を対策しています。

 

(39)広告調査委員会

広告が自由になったが、どの弁護士も弁護士法人も、事務所もあまり力いれておらず、問題にならなかった。ところが、現在は、東京の事務所が、テレビにたくさん広告を出しています。

 

(40)犯罪被害者支援委員会

片方で被告人を守り、片方で犯罪被害者を守るのは非常に難しいです。

 

(42)法曹養成・法科大学院協力センター

ロースクールがこのままでいいか、どう改革していくべきか、対処しています。

 

(43)憲法問題特別委員会

9条の戦争の話など、現在では希薄になっているが、弁護士会では、引き続き憲法問題を研究しています。

 

(44)公益活動推進委員会

弁護士になったからには、商売ではなく公益活動も必ずするようにして下さい。

公益活動しなければ、年6万円の負担金を払うことになっています。公益活動とは、法律相談や国選弁護人、委員会活動などをいいます。

 

(45)知的財産委員会

特許や意匠など、を得意とする人には大切な委員会です。クライアントも多いです。

 

(46)法教育委員会、

 高校など、学校に行って、弁護士を売り込むと同時に法教育をします。

 

(47)司法改革推進本部

法曹人口をどう増やすかなどを検討しています。本来、司法制度改革によれば、今年は司法試験合格者3000人の予定だったが、3000人合格するとみんな就職できない。検察官、裁判官の数が増えていない。また法曹一元もできていない。これらの問題についてこれからどうするか研究しています。

 

(48)裁判員制度大阪本部

 昨年5月から裁判員制度が始まりました。よい面、悪い面、三年目に検証されます。

 

(50)法律援助事業・日本司法支援センター対策委員会

法テラスなど、資力のない人について、いろいろ援助していきます。

 

(51)司法修習生及び弁護士の就職支援に関する特別委員会

昨日、大阪弁護士会

での阪大法曹会の合格祝賀会で、70名の合格者がいましたが、みんな就職の不安を持って、様々なところに挨拶していました。

弁護士は資格があって、自分で仕事ができる。そういうことも含めて検討しています。

 

(52)多重債務者救済対策本部

過払金問題により、武富士が潰れました。みんなアップアップしています。

最高裁は、グレーゾーンの金利(利息制限法と出資法の間の利息)を無効とした。そこで、多くの利用者が不当利得返還請求をしました。このため現在の状況か。

 

(54)取調べ可視化実現大阪本部

先日、厚労省の村木さんが無罪の判決を受けた。今まで刑訴法でも検察がつくった調書は、信用性があれば証拠能力が認められてきました。

検察はよく無茶な取調べをしている。すぐには実現難しいかもしれないけど、変わるかもしれません。

 

(55)男女共同参画推進本部

女性が子供産むと、仕事を休みますが、みんな働けるように対処しています。

 

(58)ADR(裁判外紛争処理機関)推進特別委員会

裁判所ではなく、紛争処理センターです。建築問題なら建築士さんといった専門家が間に入ったりします。

 

 

(59)司法修習費用給費制維持緊急対策大阪本部

今までずっと、修習生には給料が出ていたが、今年の修習生からなくなりました(裁判所法改正)。そこで、この11月から、貸与制になります。民主党は、維持を訴えているが、

自民党が反対しているから、給費制維持は難しいと思われます。社説の多くは、貸与制でいいのでは、ロースクール側も貸与制でいいのではと言っている。ただ弁護士会では、法曹を目指す人にとって、ロースクールや修習でお金がかかるので給費制維持を目指します。

 

3 綱紀員会や懲戒委員会について

弁護士会の執行部から完全に独立している。

橋下弁護士が、業務停止2か月になりました。彼は、光市母子殺害事件の弁護人を懲戒請求するように、働きかけました。そしてお互い懲戒請求の打ち合いになりました。

弁護士としての品位を汚したら、請求されます。品位の定義は難しいけど、懲戒委員会には、裁判官・検察官・学者などが入っていますし、不服なら日本弁護士連合会から東京高等裁判所に異議申し立てができます。

 

4、 新聞で話題になっていること(トッピクス)

過払問題

この問題で漁る弁護士を取り締まっていきます。ただもう時期を逃したのではないでしょうか。

 

 

5、 弁護士に未来はあるか

弁護士人口が今増えていて、就職はあまりありません。

しかし今まで、弁護士は業務を増やそうと全く努力をしていないです。当然一人あたりの事件数が減ります。新しい感覚で事件を増やす。また、新しい法律が増えてきて、高齢の弁護士は使えないです。そこで、新しい弁護士に頼む企業も増えていきます。新しい法律を、きちんと勉強して使えるように勉強すべきです。国際的な事件や取引、契約書などの事件が扱えるように新しい分野の仕事をドンドンしてほしいです。

                           

                              以上