2010年5月20日ロイヤリング講義

講師:山浦 美紀 先生

文責:納田拓也

倒産実務〜とくに企業再生の手法について〜

 

 本日は倒産法実務に関する講義を行います。皆さんは学部生ということで、倒産法実務についてはあまりなじみがないかと思いますが、ロースクールに進むにせよ、就職するにせよ、倒産の一般的な知識は必要になるかと思います。倒産手続きにも種々ありますが、本日はその中でも私が最近大きな事件に関与した企業再生の手法について主にお話ししたいと思います。

 

1 講師紹介

 私は、平成8年に大阪大学法学部に入学し、池田ゼミ(民事訴訟法)に所属していました。大学卒業後、大学院の司法試験コースに進学し、司法試験に合格し、神戸で司法修習を経たのち平成15年に弁護士登録をし、北浜法律事務所に入所し、現在7年目を迎えました。皆さんはこれまでにロイヤリングで色々な先生の講義を受けられたと思いますが、私の所属する事務所は大阪でも大きい事務所であることからも、比較的企業法務を多く扱っています。他にも企業倒産・再生、企業法務一般から債権回収、個人の離婚等の一般民事、家事、相続など幅広く扱っています。大阪で弁護士をするメリットとしては、東京と違って、企業法務を扱いつつも、一般的な民事事件も扱えるということで幅広い分野に携わることができるが挙げられると思います。また昨年から大阪女学院短期大学でも、非常勤講師として親族・相続法を教えています。最近では企業に出向したり、任期付公務員として特許庁や公正取引委員会で働いたりする弁護士もいます。弁護士人数の増加に伴い、従来よりも幅広い分野に弁護士が活躍の場を求めていっていると思います。

本日は仕事の中でも携わっている時間が一番多い分野である倒産法についてお話ししたいと思います。

 

2 倒産手続きとは

倒産手続きと言ってもいわゆる破産のように借金を帳消しにして、会社をたたんでしまう手続きを清算型と言います。破産の中にも企業の破産や個人の破産があります。清算型の中にも、債権者が少なく、債権者が債権の消し方について同意する場合には特別清算、借金が少なく現存する資産の中ですべて返すことができる場合は清算という風に異なる類型があります。この清算型の手続きを取ると会社は消滅します。破産、特別清算、清算の中ではやはり破産手続きが一番多いです。

一方、再建型という手続きは、会社の経営を維持したまま、会社を再建させる手続きを言います。会社更生法、民事再生法、任意整理などが手段として用いられます。また、民事再生についても会社の民事再生手続きの件数は多いのですが、非常に専門的な手続きが必要とされるため、個人の民事再生と異なり、最初から最後までかかわる事務所は少ないです。私自身そうした破産手続きを修習中にいくつか経験する中で、扱いたいと思うようになり、大手の事務所に就職したという経緯があります。

民事再生において弁護士は監督委員という形で関与することもあります。自らが破産管財人等になる場合もありますが、逆に債権者の立場から相談を受けることも多いです。私が最近関与した大きな事件としましては、マンションディベロッパーであるニチモという会社の民事再生に申立代理人の立場で関与しました。

 

3 手続選択

@清算型

【破産】

破産法に規定されています。平成17年に改正法が施行されて昔と制度が色々変わりました。司法試験の選択科目であり、大学の講義で扱うこともあるので一番馴染みがあるのではないかと思います。破産の中にも、債務者が自ら申し立てる「自己破産」、会社役員が申し立てる「準自己破産」、債権者自らが申し立てる「債権者破産」があります。破産を裁判所に申し立てると、裁判所は要件を具備しているか確認して、破産手続開始決定を出します。そして裁判所は破産管財人(ほとんどの場合弁護士)を選任し、管財人は、会社の財産を換価して配当原資とし、債権者の優先順位と債権額に応じて配当を行います。また、配当に至らなかった場合は廃止という手続きをすることになります。破産した会社として有名なものには、英会話のNOVAや山一証券があります。

【清算・特別清算】

会社法に規定されており、対象会社は株式会社に限られます。会社がそれ以上やっていけなくなった場合に会社は解散します。会社解散後に清算人(元代表者や弁護士が就任することが多い)が選任され、会社の財産を換価して債権者に弁済をするという手続きです。債務超過にならない場合は、すべての債権者に弁済をし、余剰があれば、株主に残余財産を分配するという清算手続きで終了します。しかし債務超過の場合には、特別清算手続きをとる必要があります。特別清算の場合には、清算人は、債務弁済の金額・時期・方法などを定める協定案を作成します。協定案の可決要件が会社法で定められており、可決要件が具備されなければ協定案は通りません。特別清算は、大多数の債権者に同意してもらわなければいけないので、債権者が多い場合には向きません。

A再生型

【会社更生】

再生型の一例が会社更生です。具体例としては、JALグループや大阪ドーム、WTC、マイカルなどが挙げられます。会社更生は会社更生法に規定されており、民事再生と比べるとかなり歴史の古い法律です。大規模な会社でないと向かないので、対象会社は株式会社に限られます。裁判所に会社更生手続の開始を申立て、更生開始が決定すると、旧経営陣は原則として、その後の会社経営に関与することができなくなります(JALグループの場合も旧経営陣は一掃)。以後は、裁判所に選任された更生管財人(弁護士が多い)が、事業を継続しながら、「更生計画案」を作成し、債権者の可決要件が具備された場合、更生計画に則り、カットされた債権の弁済を行います。JALグループの場合、特別な許可を取り、取引債権やマイレージ債権を共益債権としてすべて保護しました。そして残りの金融債権を更生債権にしました。JALグループの会社更生は国が主導していることもあり大がかりなものとなっています。会社更生については、JALグループの他にも先に挙げた企業のように馴染みのある企業も多いのではないでしょうか。

【民事再生】

本日メインでお話する民事再生は、民事再生法に規定されています。民事再生法は会社更生法と比べると若い法律です。対象はすべての法人・個人です。本日は法人の民事再生について詳しくお話しします。会社更生の場合と違って、法人の民事再生の場合、経営権は、原則として旧経営陣が残ります。旧経営陣が残るため債権者からの反発もあり、非常に難しいところもあります。有名な会社で民事再生手続をとったものには、リーマンやそごうがあります。詳しくは後述したいと思います。

【任意整理】

最近電車の広告でもよく見かけると思いますが、裁判所の手続きによらない、任意整理があります。法律に規定はないのですが、債権者と債務者の個別交渉により、債権カットやリスケジュールを行い、弁済の猶予を求める方法です。原資として消費者金融から過払金を回収して、それをもとに弁済を行うこともあります。少し前までは、過払いバブルといって、過払金の請求が盛んに行われていました。そして最近では過払いバブルに代わって、未払いバブル、すなわち未払い賃金の請求が多くなってきています。ただし、未払い賃金をすべて払っていたら企業の大半が潰れてしまうと思います。また自分が勤めている企業に対して未払い賃金を求める訴訟を起こすというのも、日本の風習からすると難しいような気がします。このような点から、未払賃金の請求は過払金の請求とはまた毛色が少し違ってくると思います。以前と異なり、弁護士自身が仕事を見つけていく時代になったということを、過払請求や未払賃金請求からも感じます。私の頃は司法試験の合格者は1000人ぐらいでしたが、今では約3倍になり、私より若い弁護士でもノキ弁や、登録後即独立する弁護士、ややもすると自宅で業務を行う弁護士も増えてきています。そのような場合、一見さんでもある程度の報酬が見込める過払金などの事件が中心になってくるのかと思います。私も法律相談などでたまに扱うこともありますが、じきに過払いバブルや未払いバブルは終わって、また何かのバブルがやってくるのかなと思います。

また、他の方法として裁判所の調停手続きを利用することがあります。裁判所の調停の中でも特に、特定調停という手続きがあり、特定の債権者に対して債権のカットを申し立てる手続きをします。WTCはもともと特定調停手続をとっていたのですが、特定調停で決めたことを履行することができず、会社更生手続をとることになりました。

 

4 民事再生開始決定手続きの概要

(1)目的

民事再生法は平成11年にできた法律です。私が関与したニチモという会社は去年の2月に民事再生手続を開始したので、去年一年間最も利用した法律のひとつでもあり馴染みがあります。

民事再生法の法目的を要約すると、借金を少し減らしてもらい、債務状態を改善して、会社を再生していく手続きということになります。会社再建のために様々な障害を乗り越えなければいけないという点で弁護士の手腕が必要とされる手続きです。破産は残った資産を整理していくだけなので方向性がはっきりしていますが、民事再生については法律面のみならず経営面についても考えなければならず、大変ダイナミックな手続きですがそういうところに破産とは違った面白味があると感じています。

手続きの一般的なイメージとしては、監督委員や裁判所の監督の下、債権者の過半数の承認を得て、債権の一部(50〜90%程度)をカットしてもらい、残債権を10年以内に返済することで、事業を存続・再生させる、というものです。

(2)関係者

民事再生法第2条に定義されている民事再生手続きの関係者を以下で紹介します。

@再生債務者

破産しそうな会社のことを再生債務者と言います。再生債務者は現状を維持したままで、倒産手続きをしていくこととなりますので、手続き開始によっても業務執行・財産管理権を喪失しません。よって旧経営陣もそのままです。清算型の手続きとは異なり、再生債務者側が申し立てるのが民事再生ですから、経営陣の交代をする必要もありません。

また、民事再生においても管財人が選任される場合があります。やはり、会社の財務状況が良く分からない場合や、粉飾決済がありそうな会社である場合は、裁判所の後見的な役割ではなく、管財人を選任して会社更生に近いことをさせる場合もあります。しかしこのような場合は稀で、基本的に旧経営陣はそのまま残ります。

A監督委員

言うなれば、再生債務者がきちんと再生していくかを監督する役割を担う人です。任命されるのは、裁判所から指名された弁護士なのですが、大阪では倒産手続きに精通している比較的ベテランの弁護士の先生が選任される傾向にあるようです。監督委員は同意権を有しており、民事再生を申し立てた場合裁判所からなされる監督命令により指定された行為に同意をする役割を担っています。この際、同意なしに行われた行為は無効になります。民事再生申立直後の申立代理人の役割としては、各行為に関する監督委員の同意の必要性を瞬時に判断することが求められます。

B裁判所

民事再生手続きは裁判所が関与しますが、再生債務者に対して後見的な役割を担っています。しかし、実際はほとんど監督委員の監督に服しているというのが実情です。裁判所が何かを決めるということは民事再生手続きにおいては特にはありません。破産や会社更生は裁判所が任命した管財人のもとで手続きが進められますが、そうした手続きとは異なると言えます。

C債権者

議決権者として再生計画案の可否につき決定権を有しています。再生計画案の可決要件は、頭数の過半数で、議決権総額の2分の1以上の賛成となっています。特に大口債権者である金融機関(多くの場合抵当権を有している)との和解を早々に行っておく必要があります。この別除権者は担保権の実行について再生手続きの制約を受けないため、この担保権の抹消を行ってもらうことが民事再生を行う上で必要不可欠となるためです。

(3)進行表(イメージ)

@申立

弁護士としてはこの申立手続きに関与することになるのですが、期日が迫っている場合に相談が飛び込んでくることもあります。こうした場合は緊急にチームを結成し、早急に対応を検討します。加えて、大きな会社を民事再生させる際には、裁判所に極秘に事前相談にいくこともあります。上場会社の場合、こうした情報はインサイダー情報に該当するので、事務所内でも、守秘義務を徹底遵守することが必要になります。

A保全管理命令

申立から23日たつと保全管理命令というのが出ます。会社の財産を現状維持する手続きになります。これと同時に監督命令がなされ、申立から2週間程度たつと開始決定がなされることになります。また、この間に債権者に対して説明会を行う場合もあります。特に一般消費者が関係者にいる場合には、対象となる債権者の数がとても多くなる上、多くの人が自己の債権がどうなるのかといった点に関して不安を抱くため、問い合わせが多くなります。こうした不安を取り除くためにも債権者説明会を開く必要があります。

B開始決定

C報告書

開始決定から1か月が経過した後、財産目録や貸借対照表を提出します。そのため公認会計士や税理士に関与してもらう必要があります。

D債権届出期限

E認否書提出期限

F債権調査

G債権調査終期

H再生計画案提出期限

I監督委員意見提出期限

J付議決定

K債権者集会

L認可決定

 

5 実務上の問題(申立代理人として関与した場合)

(1)保全管理命令(民事再生法79条)

裁判所から保全管理命令が発されると、それまでの原因に基づいて発生した債務の支払いは原則としてできなくなります。しかし保全管理命令から開始決定までの間に例外的に裁判所の許可を得て支払いを行いうる場合(申立後も取引を継続しなければ業務が立ち行かないような重要な仕入れ先から、弁済しない限り取引を打ち切ると言われる等)もあります。

(2)関係者への対応

一般消費者からは瑣末な事柄であっても問い合わせが多いのが現状ですが、そういった場合には、民事再生手続きは破産とは違うということを説明します。申立直後は債権者から事務所に大変多くの電話がかかってきますが、どんな問い合わせの電話であっても間違った対応をしてはいけません。このときの対応は弁護士として法律に則った毅然としたものである必要があります。

また、民事再生手続きを行うということは管理職以下の従業員は知らないという場合が通常ですので、そうした場合には申立日に従業員に対して当面決まっていることに関して説明会を行います。その際には各従業員と名刺交換するなどして各従業員がどういった役割を会社の中で担っているかを把握することが必要です。そうしたやり取りを通じて社員と親交が深まることもあり、民事再生の魅力の一つとなっています。

(3)債権者説明会

債権者に民事再生手続きがどんなものであるのか理解を求めるために行います。通常は申立後開始決定前、再生計画案提出後の2回開くことが多いです。申立代理人弁護士が司会を行うことが通例なのですが、その際には野次とも言うべき質問も飛びますが、そうした質問に対しても毅然と対応できるようになった時は一人前の弁護士になってきたのかなぁという気がします。こうした申立後開始決定前の債権者説明会は荒れる場合もありますが、会社再生のためには一人の利益を優先するわけにはいかないということについて説明を行う場合もあります。

 

6 開始決定

申立から1~2週間経て民事再生手続きが開始されます。この際には裁判所から渡されるスケジュール表で今後の予定、弁護士として何をしなければならないのかということを把握しておく必要があります。チームを組んでいる場合には事務所内や会社内で会議を行うこともあります。

 

7 債権の種類

(1)再生債権(一般債権、旧債権)

再生債権とは、再生手続開始決定前の原因に基づいて生じた債権のことです。この債権は再生計画の定めによらなければ原則として弁済することはできません。しかし例外として少額債権弁済や中小企業の連鎖倒産防止のための弁済は認められます。少額債権弁済とは、弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、または少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障をきたすときには、再生債務者等の申立により、その弁済を許可することができるというものです。例えば30万円以下の債権に関しては一律に支払うように取り決めることがあります。次に、中小企業の連鎖倒産防止のための弁済とは、再生債務者を主な取引先とする中小企業が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業継続に著しい支障をきたすおそれがあるときは、裁判所は、再生債務者の申立により、又は職権で、その弁済を許可するというものです。このように真に払わなければならない債権者がいる場合や、日々の業務が円滑に進まない場合には例外が設けられているのです。

(2)共益債権

再生手続き開始後の再生債務者の業務によって生じた債権であり、この債権については随時支払いを行って良いこととなっています。何故なら、再生手続き開始決定後の取引先とは特に信頼関係が重要になってくるからです。

(3)一般優先債権

労働、税金、社会保険料等については労働者等の生活にも関わるため、随時支払って良いこととなっています。

 

これらの債権の種類の判断は学説や判例を頭に入れた上で瞬時に行う必要があります。しかし、このときも誤った回答をすることは許されないため非常に慎重に判断した上で回答を行わなければなりません。こうした判断の際の基準は私自身弁護士になってからの経験に基づくものですが、現在では迷った場合は安易に払えると回答しないという行動指針としています。

 

 

8 再生債権の調査

(1)認否に際しての留意事項

進行表の中の開始決定がなされた後に、各債権者にいくらの債権が自身にあるのかということについて届出を行ってもらいます。届けられた債権が実際にあるのかないのかということをすべての届出について調査するという大変な作業です。この判断は裁判所の判決と同じ効力を有しています。この債権の中には一般債権、別除権付債権があります。一般債権者に関しては議決権と債権額についてイコール関係が成り立ちますが、別除債権者に関しては、担保権が設定されている部分については議決権が付与されないので、担保権不足額の計算等が必要になり、弁護士であっても会計の知識が要求されることになります。また、開始決定前の利息、損害金等は議決権となりますが、開始決定後の利息、損害金等は議決権とはなりません。

(2)自認債権

届け出がなされていなくても自らが認識している債権のことを言います。

(3)認否後

届出債権額に異議を申立てた債権者に対してその旨を通知した結果、査定手続きや査定異議訴訟が行われる場合もあります。

 

この調査作業は非常に数が多い上、確定判決と同じ効力を有するために非常に神経質な作業になるところです。この債権調査手続きは破産等においても必要になりますが、民事再生手続きの中でも山場になります。

 

9 再生計画案の作成

債権調査とは異なりダイナミックな作業になります。再生債権弁済計画書を作成し、再生債権者ごとに総債権額をまとめ、権利の変更方法に従って公認会計士の方と相談しながら弁済額を算出し、弁済方法の要領に従って分割弁済案の作成を行います。弁護士であってもこの場面では簿記の知識が必要になりますので、修習中に勉強する方も多いです。私自身も修習中に勉強しましたが、特にこうした民事再生に手続きにおいては数字を扱うことは避けては通れないので、公認会計士の方や税理士の方と相談しながら作業を進めていくことになります。

 

10 付議決定

再生計画案を見て監督委員の弁護士が意見書を書き、債権者に対して呼び出し状や議決票を発送するという手続きになります。

 

11 債権者集会

大口の債権者には白紙委任をしてもらった上で、可決が行われるようにしておく場合もあります。大口債権者には事前に同意してくれるよう頼みに行くことが多いのですが、大口債権者としても、反対することで企業が破産してしまうと資産がますます劣化してしまうため、反対するメリットもないことから同意してくれる場合が多いです。

 

12 認可後

再生計画案が認可されると、分割弁済案の通り返済していくということになります。認可決定が確定しても3年間は手続きが継続し、監督委員等の監督に服しますが、一定弁済がすむと会社が復活していくこととなります。認可決定により同意、報告事項の内容は緩やかになったりします。

 

13 最後に

こうした流れにより、民事再生手続きが進められていくことになります。弁護士の中にはこうした手続きを一切されない方もいらっしゃいますが、この仕事を通じて会社の役員や社員の方と親しくなり、その会社に就職したかのように愛着を感じるようになると、その会社を再生することができたときは非常に達成感を感じることができ、やりがいのある仕事であると感じています。

現在では、民事再生手続きを、破産する前に資産を劣化させないための、段階的な清算型の民事再生として用いる場合もあります。こうした手続きを考える作業も非常に面白い部分であり、M&Aといった事業譲渡も絡んでくることから、ダイナミックな仕事ができる場面です。しかし、民事再生の件数は少なく、実際には破産事件の方が多いのが現状です。それでも民事再生の方が面白いと私が感じる理由は、民事再生は人との付き合いがあるという点です。破産手続きはある意味機械的に資産の整理をしていく作業ですが、民事再生においては会社の人や債権者といった多くの人に出会うことができるので、個人的には面白いと感じています。

私自身は倒産手続きがしたいということもあり、大きな事務所を志望し就職したのですが、企業の側に立って弁護士の仕事をするに際しては、弱者の味方ではないように見られることもあります。しかし私としては企業全体を守り、活性化することにより従業員を含め、多くの人を幸せにすることができると考えており、企業の側からの人権救済ができると考えています。企業としてもやるべきことはやった上で、全体的な利益を考慮しているという事実を踏まえると、企業法務を扱っている弁護士が人権派でないと言うことは決してできないと思います。大企業の側に立って仕事を行う場合であっても、企業の側からの人権救済も可能ですので、そういった面も企業法務の醍醐味であるということを認識していただけたらと思います。特に倒産手続きにおいては、企業側に立つ弁護士としては、一人の債権者の救済も勿論大切ではあるのですが、一人を救済することによって他の債権者を適切に救済できなくなるという事態は避けるべきであり、全体の調和を重視することも必要であると弁護士業務を通じて感じています。

 倒産手続きの流れは以上になりますが、私は女性弁護士ということもあり離婚など、家事事件等についても扱っています。

ロースクールもできて合格者人数も増加し、弁護士の就職難なども問題となっていくなかで、10年後の弁護士業界がどうなっているのか、また自分がどうなっているのか不安に思うこともありますが、弁護士を目指したいという方がいれば事務所訪問などの機会を利用して頂けたらなと思います。また、企業に就職される方も、もしも交渉の場面等でお会いした際には一言声をかけてもらえると嬉しいです。今日はどうもありがとうございました。

 

以上