2009123日ロイヤリング講義

講師:近藤 信久 先生

文責:納田拓也

民事調停について

 

今日は民事調停についての講義をする。なぜ民事調停というテーマを選んだかというと、私は弁護士をやりながら、平成16年から4年間ほど民事調停官を務めていたからである。調停官は調停委員とは少し異なり、裁判官がやっていた調停主任を弁護士がやるものである。この調停官という制度は法曹一元化の趣旨のもとに作られ、私も興味があったので応募して4年間調停官として調停に携わってきた。

 

1、民事調停とは

裁判所で行う手続きには、大きく分けると調停と裁判の二つがある。

調停とは、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員が加わって組織した調停委員会が当事者双方の言い分を聞き、歩み寄りを促し、当事者の合意によって争いの解決を目指すというものである。法律的な評価をもとにしながらも、争いの実情に応じて様々な考えを反映させることによって、柔軟な解決を図ることができる点が特徴である。

これに対して訴訟とは、裁判官が争いのある当事者の言い分を厳格な手続きにのっとって聞き、当事者の提出する証拠を調べ、その上で法律に照らして当事者の言い分のうちいずれが正しいかを判決という形で白黒はっきりさせるものである。但し、訴訟の中でも和解勧告というものがあり、裁判官が和解を勧めることもある。

以上が裁判所の中の手続きという点での調停と訴訟の比較である。

次に、裁判外紛争解決手続きとしての民事調停という視点について説明していく。司法制度改革の一環としてADR法(裁判外紛争解決手続きの促進に関する法律)が平成19年4月に制定され、訴訟以外の紛争解決方法に注目が集まっている。なぜこのような流れになったかというと、全ての紛争を裁判所だけで扱っていると余りにも時間がかかりすぎるし、法律の専門家である裁判官には、医療問題や特許問題など専門性の高い紛争を扱うには一定の限界があると考えられたからである。

続いて、裁判外紛争解決手続きを、行政型・民間型・司法型の三つに分類しそれぞれについてみていく。

行政型には@公害等調整委員会A労働委員会、労働局の紛争解決制度B建設工事紛争審査会がある。

@公害等調整委員会とは、都道府県・市町村が窓口となって暮らしの中の公害紛争処理を行う機関のことである。具体的には、大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下・悪臭などの公害を扱っている。また朝日新聞の記事によると、公害等調整委員会はこれまで東京でしか行っていなかった公害紛争処理手続きを、今春から、原則として委員らが現地に出向いて行うことにしたそうである。専門家による現地調査も充実させて、紛争解決までの期間短縮を図り、「使い勝手」をよくすることで、制度の利用を広げたいと考えているようだ。公害等調整委員会が現在扱っている公害紛争は23件で、このうち今年度新たに申請があったのは8件である。しかし、都道府県などに寄せられる公害の苦情は2001年度から7年連続で9万件を超している。裁判所が新たに扱う公害訴訟と調停の数も年平均で200件近くあるそうだ。公害等調整委員会は、同種の民事訴訟に比べ、手数料がほぼ半額以下であり、処理機関も平均で約110カ月と、数年にわたることもある裁判より素早い解決が期待できる。

ここで、調停と裁定の違いについて説明しておく。調停では、お互いの言い分を聞いて提案した解決案をのむかどうかは双方の自由である。これに対して裁定では、解決案が出る前に、どういう解決案がでようと自分たちはその解決案に従うという合意をすることになる。

A労働委員会、労働局の労働紛争解決制度(行政型)についてみていく。東京都労働委員会のHPにもあるように、労働委員会を利用する際には、裁判所を利用した手続きとは異なり、相談を含めて一切費用がかからない。また、あっせん事件の多くには弁護士がついておらず、必ずしも弁護士をつける必要はない。この「あっせん」は、調停、仲裁、裁定と異なり、「このようにしてはどうだろうか」という解決案を出さない点が特徴である。あっせんは、解決案を出すのではなく、紛争当事者の仲を取り持ってくれるのである。

労働委員会と労働局の紛争解決制度の違いについて説明する。労働委員会は労働組合と使用者側とのもめごと、つまり団体間の労働問題を扱うのである。それに対して、労働局の紛争解決制度は、給料が急にカットされた場合や、突然理由もなく解雇された場合に一人の従業員と会社とのもめごと、つまり個別労働紛争を仲裁、あっせんするのである。

B建設工事紛争審査会についてみていく。建設工事紛争解決審査会とは、工事に雨漏りなどの欠陥があるのに補修してくれない、工事代金を支払ってくれないといった建設工事の請負契約をめぐる紛争について、専門家により、公正・中立な立場で、迅速かつ簡便な解決を図ることを目的として、建築業法に基づいて設置された、あっせん・調停・仲裁を行う裁判外紛争解決機関である。ここで仲裁について詳しく説明しておく。仲裁の解決方法は、裁判所の判決に代わる「仲裁判断」を下す手続きで一審制であり、仲裁判断が下されると裁判所でも争うことはできない。なぜこのように強烈かというと、仲裁の前提として、当事者双方が仲裁判断に従う旨の合意をするからである。なので、仲裁合意をするかどうかは重要である。

なぜ、@公害等調整委員会A労働委員会、労働局の紛争解決制度B建設工事紛争審査会のような紛争解決手段が設けられたかというと、先にも述べたように、裁判官は公害問題についての専門家でもないし、実際に事業主として労働者を雇っているわけでもないので専門性に欠けるため、そのような専門性を有する機関にあっせんや仲裁を委ねた方が、より迅速に簡便な紛争解決が図れるからである。

次に、民間型の裁判外紛争解決手続きである@弁護士会民間紛争処理センター、総合紛争解決センターA日本商事仲裁協会、IOC(国際商業会議所)国際仲裁裁判所Bスポーツ仲裁裁判所についてみていく。

@弁護士会民間紛争処理センター、総合紛争解決センターの特徴として、間口が広く様々な紛争を対象としている点があげられる。ただし、民間が運営している団体なので行政型のものとは異なり申立ての費用や解決した際の手数料はかかる。私は紛争処理センターの委員もやっており、裁判所における調停申して手件数と比べると、この紛争処理センターでの申立件数は少なく、まだまだ認知度も低いということを感じる。

A日本商事仲裁協会は、昭和25年に日本商工会議所を中心に経済団体連合など経済7団体が発起人となって、商事紛争の解決を図るために日本商工会議所に設置された国際商事仲裁委員会が前身である。その後同会議所から独立し、社団法人国際商事仲裁協会として発展改組され、平成15年に名称を社団法人日本商事仲裁協会としたのである。

そしてIOC(国際商業会議所)国際仲裁裁判所はフランスのパリに本部を置く機関であり、国際的な商事紛争を扱っている。

なぜ、国際取引について仲裁が必要かというと、日本でのもめごとについては日本の裁判所を利用すればよいのだが、国際取引のもめごとについて日本の裁判所で判決が出たとしても、判決内容が実効される可能性が小さいからである。そこで国際取引では、仲裁機関及び仲裁合意を定めておくのである。この仲裁の特徴として国際的強制力がある。つまり、裁判の場合、判決を外国で執行することは、各国の法制度上必ずしも容易ではないが、仲裁の場合ニューヨーク条約によってその判断を外国で執行することが容易であるといえる。

日本商事仲裁協会は民間団体なので費用がかかり、メニューとしてはあっせん・仲裁・調停の三つを用意している。あっせんの場合は解決策をそもそも出さず、調停の場合は解決策受け入れの自由があり、仲裁の場合は解決策受け入れの自由がない。その他の特徴として、民間機関が行うあっせん・調停・仲裁の場合は裁判と異なり、当事者の合意さえあればあっせん人・調停人・仲裁人を自由に選定することができる。

Bスポーツ仲裁裁判所について、朝日新聞お記事を参考にしながらみていく。この記事ではサッカーの我那覇選手のドーピング問題が取り上げられている。我那覇選手はJリーグにドーピング規定違反とされ、それを不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したのである。数年前には、競泳の千葉選手も、シドニー五輪の代表選考で落選し、選考方法が不透明だとして、日本水泳連盟を訴えている。

そして、司法型には民事調停や家事調停がある。民事調停の特徴には、間口が広く、一般市民である調停委員が参加し、調停の履行確保のため、調停調書には裁判上の和解と同一の効果があることなどがあげられる。

2、利用の状況

では実際に民事調停がどれくらい利用されているかというと、平成18年には30万4049件の事件を新たに受けている。同年の訴訟新受件数は54万7028件と、調停の方が利用数は少ないが、数年前に債務整理の調停が盛んに行われていた時期には、訴訟とほぼ同数の調停が行われていた。

 

3、法律

民事調停に関する法律にはどのようなものがあるのだろうか。民事調停に関する一般法としては民事調停法があり、その他には細かい内容について定めた民事調停規則や、債務整理について特別に定めた特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律がある。

民事調停法は民事訴訟法と違って、38条しかなく規則の方も39条しかなく、条文が定めていることはかなり少なくなっている。

 

4、歴史

なぜ民事調停法のような制度があるのか歴史的にみていく。

まず、江戸時代に内済という制度があった。これは、名主又は組頭が扱人となって当事者に示談をさせ、成立すると内済文書を創り裁判所(奉公)に提出させるという制度である。弁護士として働いていく中で、自分たちのやっている手続きには普遍性があるのかということが気になり、ルール・制度を歴史的に学ぶことに興味を持つようになった。江戸時代においても、窃盗に対する処罰や離婚手続きなどについてもそれなりのルールが定められていたようである。

次に、明治8年には勧解という制度が作られた。これは起訴前の和解に連なるものであり、今でいう即決和解である。起訴善の和解に似た制度として公正証書があるが、公正証書は金銭の強制執行しかできない。したがって、家賃滞納者に退去処分を命じる場合は公正証書ではなく、即決和解で行った方が実効性を担保できるのである。しかしこの勧解は明治23年の民事訴訟法制定によって消滅してしまった。

そして、大正11年には借地借家調停法が成立し調停制度が発足した。弁護士の川口冨夫氏のエッセイによると、明治期に欧米の裁判制度が導入され、裁判が基本的な解決手段とされてきたが、大正期に入ってから産業構造が大都市の工場に重点が移り、大都市の借地借家が増加し、それに関する紛争が多発し、裁判で解決することが困難あるいは不適当ということで導入されたそうである。

その後、大正13年には小作調停法、大正15年には商事調停法、昭和7年には金銭債務臨時調停法、昭和15年には鉱業法の一部改正による鉱害賠償調停法、というようにその時代に応じて、紛争解決のニーズにこたえる形で調停法は作られていった。そして昭和17年に成立した戦時民事特別法では、紛争全般を訴訟だけでなく、調停で扱えるようになった。この法律ができた理由には、戦時中あので、訴訟で白黒つけるよりも互いが譲歩し協力することが好まれたという歴史的背景がある。

そして、昭和26年に民事調停法が成立し、現在まであまり大きく改正はされていない。調停は今や紛争処理件数こそ訴訟に及ばないものの、訴訟と並ぶ民事紛争処理手続きとして着実に司法に根を下ろしたと判例タイムズでも説明されている。

 

5、裁判より互譲による解決に親しむ日本風土

昔から、日本には裁判よりも、互譲による解決親しむ風土があると言われている。弁護士の川口冨夫先生はエッセイで次のような例を挙げている。

「ギリシャの神々は殺し合いをしますが、日本の神々は争っても、アマテラスがスサノオを出雲の国に追放したように追放ぐらいですませる。日本では縄文時代が1万年以上続いていたところに弥生人が渡航してきたが、弥生人は縄文人を殺さずに共存した。日本の神道は渡来してきた仏教を排斥せずに共存した。ボクシングは相手が起き上がれなくなるまで戦うが、相撲は違う。チェスでは採った駒は生かせないが、将棋では取った駒が見方として活躍する。」このような例を挙げて、譲り合いの精神を好む日本には調停が馴染みやすいと説明している。

また、アメリカで調停人をやっていたレビン小林さんは文献で次のように説明している。

「調停は、中国や日本では昔から広く社会の中に行きわたっていますが、アメリカでも植民地時代、町の長老や教会の神父などによって頻繁に行われていました。しかしアメリカが独立した国として、その憲法や社会制度が整っていくにつれて利用されなくなり、人々から忘れ去られていった。その調停がトラブルの解決法として再発見されたのは60年代である。もちろん、再発見といってもいつ誰がそれを行ったかは、はっきりしていない。全米各地で少しずつ利用が広がっていった。しかし、現代の調停は昔の調停と違い、その概念や実施方法は大変理論的である。」このように、調停は日本だけでなくアメリカででも利用されている。

さらにレビン小林さんは、「事件の白黒をつけることが目的の裁判や仲裁は、結果として当事者の関係を悪化させてしまうという欠点がある。せっかく裁判に勝っても、長年の得意先やビジネスのパートナーを失っては、何のための勝利だか分からなくなる。」と述べている。

 

6、調停における危機管理

ここでは、大阪簡易裁判所の調停センターの方が書いておられた「調停における危機管理」について説明する。「調停事件においては双方ともに本人同士という場合が多く、別々の待合室に案内する。トラブル発生の可能性があればこれを回避するための対策をとっておく必要があるのである。時には、受付段階で情報を知り得た場合は担当書記官にメモ等で引き継ぐこともある。」

私自身、裁判所の外へ出たとたん相手方が申立人を追いかけるという事態に遭遇したことがある。場合によっては、調停人や裁判官が当事者に恨みを買ってしまう可能性もあるので、調停における危機管理にはかなり神経を使っているのである。

 

7、調停委員にはどんな人がいる?

調停委員は、弁護士、元警察官、不動産鑑定士、一級建築士、医師、税理士などの専門家や、それ以外にも人形劇団をしている人、保険会社に勤務していた人、鉄鋼メーカーに勤務していた人、マスコミ関係に勤務していた人など様々である。ここで「勤務していた人」が多いのが何故かというと、現役の人であれば仕事を休むことが難しく、調停に参加しにくいからである。調停委員に応募したきっかけは会社の先輩や知人のすすめなどが多いようである。

 

8、申立書の書式

簡易裁判所に一般的な書式は用意されている。例えば、損害賠償についての調停申立書であれば、紛争の要点として、事件発生日時・発生場所・加害者の氏名・事件の態様と結果・損害の内容などを記入し、申立ての趣旨として金〜円の支払いを申し立てることになる。

また交通事故についての申立書は定型化されており、警察の実況見分調書とほぼ同じつくりになっている。具体的には、最初に発見した地点・危険を感じた地点・ハンドルを切った地点・ブレーキをかけた地点・衝突した地点・申立人車が停止した地点などを事故現場状況説明図に記すことになる。調停が申し立てられると相手方には照会書が裁判所から送られ、相手方の意向を伺う機会も設けられる。

 

9、調停前置主義

例えば、賃料の増減額請求の場合であれば、いきなり訴訟を提起することはできず、必ず前提として調停を行わなければならない。何故かというと借地借家法がそのように定めており、まずは話し合いが優先されるからである。

 

10、事実の調査

事実の調査は聞きなれないかもしれないが、証拠調べとは少し異なる点に注意が必要だ。調停は当事者主義ではなく職権主義が採用され、調停委員は職権で事実の調査及び必要があると認められる証拠調べをすることができる。また事実の調査は証拠調べのように厳格なものではなく、事実の調査にあたって宣誓もさせないし偽証罪の制裁もない。

 

11、事実の認定

紛争の解決には事案の真相を把握することが必要不可欠である。いずれの当事者の主張がより真実に近いか、より真実の蓋然性が高いかをできる限り把握するのである。手段としては、事実の調査・証拠調べ・当事者の主張の評価があり、手法には経験則・合理性の活用がある。

調停に関してよく取り上げられる例を二つ紹介しておく。

一つ目は、悪い例として取り上げられるオレンジをめぐって争う姉妹の話である。姉妹が1個のオレンジを欲しいと互いに譲らなかったため、仕方なく母親が半分に切って姉妹に与えたこれは一見公平で合理的に思えるが、実は姉はマーマレードを作るために皮が欲しかったのであり、妹はジュースを作るために中身が欲しかったのだった。この場合、母親がもっと姉妹の話をよく聞いていれば、姉妹とも完全に満足する解決策が見つけられたはずである。お互い譲り合うよりも、お互いに満足するWin -Winの方が良いとも言われている。

二つ目は、ベースボール仲裁の話である。アメリカのプロ野球選手の年俸交渉で選手と球団が対立したときに、調停人が「それではお互いに自分が最も合理的だと思う額を提示してください。調停人はそのうちより合理的だと思われる案をとります。間を取ったりしません。(例えば1億円と5千万円の提示があった場合でも7500万円とはしない。)」と宣言するのである。

そう言われると、両当事者は、自分だけに都合のよい不合理な案を出してしまうと必ず相手の方の案を取られてしまうということで真剣に考えて互いに合理的な案を出し、その結果は差がないものになるというものである。日本の調停でも実際にこれをやってみた方がいたそうだが、お互いが自分の案にこだわり結局差はつまらず、うまくいかなかったそうである。

 

12、現地調停

現地調停とは、事件の実情によって裁判所外の適当な場所で調停を行うことである。現地調停は、当事者出頭の便を考慮する場合、お年寄りでなかなか裁判所まで足を運べない場合、建築紛争などで現場を実際にみた方が良い場合などごく限られた場合にしか利用されていない。裁判官や調停員が現地まで行った方が当事者も納得するので、もっと利用されてもいいと思うかもしれないが、裁判官は何十件も事件を抱えているので、裁判官が一つの調停のために現地へ出かけていってしまうと、他の事件が回らなくなってしまうという問題がある。そこで、民事調停委員が事実の調査の一環として現地に赴くこともある。

 

13、仮の措置

調停にはあまり強制力がないが、一応仮の措置というものがある。ただし、執行力を有しないため、あくまで任意の履行を求める処分にとどまる。例えば、10万円以下の過料の措置などである。

 

 

14、民事執行の停止

差押えをされて借金を返せなくなって困っている人が調停を申し立てる場合には、一定金額の担保を裁判所に納めることで、差押えを停止することができる。

 

15、終了原因

調停は成立の見込みがある限り永遠と続くのである。もめていた当事者が各々納得のいく案がまとまると、裁判官が調停調書を作成する。調停はいったん成立すると確定判決と同様の効力を有するため、後で文句を言って調停をやり直すことはできない。

私は弁護士になりたての頃、自分自身では納得のいく案であったものの、依頼者からすると納得のいかない案であったために、最後の詰めのところで依頼者とトラブルになりかけたことがある。やはり、最後の詰めには十分に神経を使わなくてはならない。

医療の世界でもそうであるように、今は自分の考えを主張する患者(依頼者)が増えてきている。弁護士の世界でも昔のように「先生に全てお任せします。」というのは減ってきている。

また裁判官がいいと思う和解案と、弁護士がいいと思う和解案が少しずれることがある。何故なら、依頼者は着手金などの弁護士費用を念頭に置いて賠償額を考えているが、裁判官はそのことを考慮していないからである。

それから手続きとして、当事者が納得しなければ調停は不成立に終わる。当事者が呼出しに応じない場合も不成立となる。

また話し合いがまとまる直前まで進んだものの、うまくまとまらなかった場合に、調停に変わる決定が下されることがある。この決定には強制力がなく、異議を唱えれば不成立と同じことになる。

そして、双方当事者があらかじめ、どんな調停案が出てもそれに従う旨の合意をしている場合は裁定が行われる。

その他にも、取下げや、調停の悪用を防ぐための調停をしない措置、却下といった終了原因がある。

 

以上