1月22日ロイヤリング議事録

講師:莚井順子

文責:塚上公裕

「離婚に伴う子どもの引渡しについて」

 

1はじめに

 私は弁護士となってから、今年で14年目になります。そのなかで色々な事件を扱ってきましたが、私自身が女性であるということから、女性からの依頼が多く、その中でも離婚の問題の半分は女性が当事者ということもあり、多く扱ってきました。

 離婚の問題では、子供に関する事件が多く、そのなかでハードな事件にも遭遇してきました。今日ははじめに離婚や子供の引渡しに関する法律を見て、その後に私が実際に遭遇した、めったにないようなハードな事件について紹介しようと思っております。

 

2子どもの引渡しの問題が生じるのはどんな場面か?

 実際にどのような場合に子どもの引渡しが問題となるかといいますと、まず同居夫婦のいずれかが離婚の前提として別居に踏み切るとき、子どもを連れて行くのかおいて行くのかが問題となります。次に既に同居していない場合に、子どもと同居したいと思ったときに問題となります。

 前者のケースについては、連れて行った場合だろうと連れて行けなかった場合であろうと法的には問題となりません。なぜなら婚姻中の場合は共同親権となるからです。後者のケースでは、「つれさり」と一般的に言われている、もともと置いていった子どもを、幼稚園の帰り道などで捕まえ、勝手に連れ帰ってしまってトラブルになることがあります。これは他人が行えば未成年者拐取になり、親子間でも構成要件上はこれにあたります。

 離婚以外で子どもの引渡しが問題となる場合には、何らかの事情で親以外のものが子どもの面倒を見ている場合、例えば虐待があった場合に児童家庭センター等が子どもを連れて行った場合に、親が子どもを返してくれと争いになるケースがあります。また、私の経験した中では一番深刻なケースとしては、離婚後、親権者であった同居親が亡くなり、他の親権者でない方の親が親権者親の死後子どもの面倒を見ている親権者の親族(祖父母が多い)に子どもの引渡しを請求する場合もありました。

 

3子どもの引渡しの問題が生じる場面で考慮すべき要素は何か?

 子どもの引渡しが問題となるときには、まず民法上は親権、監護権が問題となります。実務上はこの二つにはほとんど違いはありませんが、婚姻に関する同意など、明文上「親権者」に認められているものだけを親権と解しその他の権限を監護権とする見解や、監護権も含め、ひろく子どもの養育全般に関する権限を指して親権という言葉を使う見解があります。また未成年後見も問題となりますが、これは親の場合の親権や監護権の広範な権限を後見人に認めますが、他方で親同様広汎な監督・養育義務を負いますので、未成年が不法行為を行った際には監督義務者責任を負うこともあります。

 民法の他には、児童福祉法の理念も考慮に入れねばなりません。また、子どもの権利条約も1994年に批准されており、国内法的効力を有しています。実務では、子どもの権利を前面に押し出して解決を図る場合には3条をよく引用します。そのほかの条文も、民法には直接子どもの権利を認める規定がなく、権利の内容が漠然としているため、使われます。次に、権利条約18条では親がまず教育責任を負っていることが規定されており、国はそれを補助する、つまり国は親が責任を放棄するまでは介入できないということが定められています。同12条では子どもの意見表明権が規定されており、すべての事柄について意見を表明する権利を保障しています。この12条に関しては、『自己の見解をまとめる力のある子ども」がいったい何歳ぐらいまで認められるかが問題となりますが、実務では10歳から12歳ぐらいだとされています。実際の裁判では、13歳以上の場合には一応どちらの親に引き取られたいかを聞く取扱にしており、またそれ以下の場合、たとえば4歳であった場合、意見表明の元となる事実に対する理解力や判断力がないことは明らかであるため直接その子の意見を聞くことはしませんが、その子の生活状況を調査する中でその子が感じている内容について話は聞きます。意見表明権の実際に根拠となるのは13条であり、表現の自由があるので、言うことが出来る、といえます。とはいえ、重要なのはやはり12条であり、子ども本人が自分から意見を言えるとは限らず、言ってこなくても、大人のほうからその子の意見を聞かなければならないと考えるべきです。

 

4子どもの引渡しに際して用いられる法的手段

 子どもの引渡しの根拠となるのは監護権です。

 離婚の際、監護権については、まず協議で決めることになっており、決まらないときは家裁が判断することになっています。その後、子どもの利益のために必要がある場合には家裁は離婚時に決めた監護権者を変更することができます。この場合、あくまで監護権の決定や変更の問題であって、親権は移りません。

 実務上どのような請求をするのかといいますと、家事審判法9条を使います。9条の定める審判事項は甲と乙があり、甲は簡単に決まるもの、特別代理人の選任等の形式的に決定できるものについて規定されており、実質的な事情について判断を要するものについては乙に規定されています。この乙4号に規定されている監護者指定及び子の引渡し審判の申立をします。また同時に審判前の保全処分も申し立てることもあります。これは仮処分と同様に、審判前に効力を有するので、確定前に同居することが可能になる可能性があるからです。審判確定後は原則に戻り、民事執行法によって実現されます。もっとも直接執行はできず間接強制の方法によるため、例えば「子を引き渡せ、引き渡しが行なわれるまで一日あたり5万円支払え」という内容になります。そのため「どうせ先立つものがないから(支払いが出来ない)」と開きなおる人も多く、あまり効果がないことがよくあります。

 そこで人身保護法による引渡し請求が使われています。しかし、この法律はもともと人身売買等の際に被拘束者の子どもなどを解放するために定められた法律であり、制度趣旨が異なるため、離婚の伴う子の引き渡しに使う実際の運用には無理が生じています。

 離婚前の場合には、別居の際は子どもを置いていった親が、後日生活基盤ができたからとして子を引き渡して欲しいと請求することがあります。この場合まだ離婚はしておらず共同親権であるので、監護権の主張をしていくことになります。

 離婚後の場合には、かならず親権者がどちらかに決定していて、親権者イコール監護権者となっています。昔は、跡継ぎの問題や名字の問題上、親権は父親、監護権者は母親と親権と監護権の帰属が分かれることもありましたが、現在では親権と監護権を別個に帰属させるべきはないと考え、親権者と監護権者は一緒にされるケースが大半となっています。

 離婚後親権の帰属が問題となるケースとしては、離婚届にサインをする際に、片親が右面にある親権者にかんする部分を隠して相手方に署名させ、相手方に内緒で自分が親権者になることもあります。このような事案を「騙され届」と呼んでいるのですが、このような場合にどうしたらいいですかと相談にこられる方は結構いらっしゃいます。相談者の方は離婚届とは別に自分たちで離婚協議書を作っていた、そこでは自分が親権者になっているのだが、それでも戸籍の訂正はできないのかとおっしゃいますが、一旦戸籍に記載されてしまうと裁判以外の方法では変更できないとお伝えします。このように法は親権に関しては非常に法的安定性を重視しています。

 もっと深刻なケースもあります。例えば母親が不倫した際に、夫から出て行けといわれ、泣く泣く子どもを置いて出て行ったような場合です。このような場合、不倫したからといってそれには不倫にいたる事情がそれなりにあり、例えば夫の暴力で夫婦関係は既に破綻しているなどで母親が一方的に悪いのではなく父親にも問題があることが多いのですが、母親は引け目を感じて子どもを置いていってしまうのです。しかし、不倫の相手方とは上手くいかなくなって別れた後に後悔し、もう一度子どもとやり直したいと思い、親権変更を申し立てるのです。このような場合、裁判所は不倫に対しては非常に厳しい評価をしてくるので、残された父親がまともに子どもを育ててないといった事情がない限り親権者変更は厳しいです。

 このように一旦決められた親権はよほどの事情が無いと変更されない、非常に重いものです。最初の騙し届の事案は現実の監護権者のもとで暮らすほうが子供が幸せな場合が多く、また、現状維持が子どもの利益になると考えるため、比較的容易に変更は認められますが、後者のケースのように親権者で監護権者である親から子供の引渡しを受けることは非常に厳しいです。

 もっとも、親権者の変更や監護権者の変更が認められ、引渡し請求ができることもあります。しかしこの場合それまで子どもと同居していた親はなかなか引渡しに応じず、先ほども説明しましたように間接強制の申立をしても効果がないことも多くあります。

 そこで先ほどの人身保護法が使われるのですが、要件があります。具体的には@拘束性A顕著な違法性B補充性が必要とされており、B補充性とは他に手段がなく、かつ今すぐ認めなければ重大な損害が生じるということであり、実務上は一番重要かつ厳しい要件となっています。

 では、離婚前の段階で父親が子ども育てていたところ、母親が子どもが小学校から帰る途中に子どもを連れ去ったような場合、父親は人身保護請求をなし得るでしょうか。

 このような離婚前の段階では、両親に共同親権がある以上、顕著な違法性はないとするのが最高裁の判断です。

では離婚後に非親権者の側から、親権者に対し人身保護請求をできるでしょうか。

この場合については、最高裁は、親権者ではなくても監護者指定審判をもらっている親について、請求を認めました。この最高裁の判断からは、監護権者でない場合には請求は認められないことになるという解釈も成り立ちますが、子の引渡しについては子どもの福祉を一番に考えるべきという考えから、監護者指定審判前でも現状の監護権者の下での生活が子の福祉を著しく害する、例えば虐待ケースなどであれば請求を認めるべきであると私は思います。

すこし話はそれるのですが、私はそもそも親権者をどちらかに決めなければならないとするから問題になると考えています。離婚後も基本的には共同親権を認めればいいと思います。諸外国でもそのような流れがあり、アメリカ、フランス、イタリアといった国では共同親権の方向に向かっているようです。また離婚後の子や親に対するアンケート調査をアメリカで実施した結果を見る限り、離婚後も両親が子どもの養育で協力できることは多くあり、であるならば敢えて親権をどちらか一方に決める必要はないと思います。私の経験上でも、離婚することそのものでは夫婦の意見が一致しているのに、子どもの親権をどっちにするかで深刻な争いになってしまったり、逆に夫婦間で深刻な問題があっても子どもの養育なついては協力できる元夫婦も多くおられます。

話を戻しますと、子の引渡し請求の可否の判断の際に、当該子どもの意見を聞くべきか、という問題もあります。子どもの権利条約によると子どもには意見を発表する権利があるわけですが、例えば、10歳の子どもに意見を聞くべきだとおもいますか?

ひとつの考え方としては、子どもには聞くべきでないという考え方があります。子どもは両親のどちらも好きであり、どちらにも愛される権利があるのだから、子どもにそのどちらかを選ばせるのは酷だという考え方です。反対に、子ども自身のことなのだから自分で決めたいだろう、なぜ大人が勝手に決めた通りにしなければならないのか、と子どもの意見を聞いてそれを尊重すべきという考えかたもあります。両者はいずれが正しいというわけではなく、価値観の問題だと思います。弁護士の中には、訴訟中に子どもに父親と住むのはいやだと言っているという内容の手紙を子どもに書かせたり、ビデオをとったりして証拠として提出する人もいます。私としては、子どもにそういう内容のことを言っているのを直接裁判の証拠とすることは後に親子間の傷になる可能性が高いのでやるべきではないと思っています。子どもの望みは両親の仲直りであり、それが無理と分からず現状維持を望むことが多いですし、また別居親についていくことは子どもの養育環境、学校とか友達関係が変わることを意味するわけですが、それを子どもがいやがるのは当然です。ですから裁判でわざわざそれを言わせるべきではないと思います。本当は自分で意見を言ったことに責任を持てる、つまり自分が言ったことが片方の親を傷つけることを分かっていて、しかも結論が自分の意見通りに必ずしもならないことも分かるようになる年齢までは裁判上の証拠として子どもの意見は聞くべきでないとわたしは考えます。訴訟中に、どちらの親がいい、と聞かれていなくても自分から言い出す子どももいますが、そのような場合でも、子どもに決定権をあたえ、子どもの判断に任せるべきではなく、例えば子どもから同居を拒まれている親に「あなたの子どもはあなたと一緒に暮らすのはいやだといっていますよ、それでも引渡しを主張されますか」、「なぜ、このように子どもさんが言われるのか、心当たりはありますか、どうやって子どもさんを説得するおつもりですか」と親側に問い掛けていくなどして問題解決を図るべきだと私は考えます。

 

5ケーススタディ

 それでは実際にかかわった事件について紹介したいと思います。

 一つ目のケースは、子どもは15歳の長女・13歳の長男・9歳の次男・7歳の次女の4人。離婚の際、長女と次男は母親が、長男と次女は父親がそれぞれ親権・監護権者となった。その後、父親側の事情で長男と次女も母親と暮らすようになったが父親は長男と次女の引渡しを求めている、という事案でした。もともと母親のもとに引き取られてからも長男と次女は父親に会いに行くなどの交流はあったのですが、請求が行われる6ヶ月ほど前から、子どもたちは、遠いしこっちからお父さんのところ行くのは大変だから、と父親に会いに行くのを嫌がるようになり、請求がなされました。

 このケースにおいては、いきなり人身保護請求が請求されましたが、まずは監護者指定をすべきでした。一方、母親の側からはどのような手段をとるべきであるかといいますと、親権変更と監護者指定を申し立てるべきでした。

 家事審判であれば家裁で扱われるため、調査官による調査が入るのですが、いきなり人身保護請求がなされ、地裁で扱われたため、調査官のような子どもの監護についての調査のノウハウを持ったひとがいません。被拘束者である子どもにつけられる国選代理人が代わりに調査をすることになります。私は子どもの権利委員会に所属していることから、子どもの人身保護請求事件の国選代理人に選ばれることが多くあり、この事件についても国選代理人に選任されました。

 まず13歳の長男については簡単に意見を聞くことができました。「なんでお父さんのとこいかへんの」と聞いたところ、「ちょっと大変やから」とだけ答えました。「お父さんの家に帰っておいで、一緒に暮らそっていわれているんやで」といったら「嫌な事もあるけど、兄弟四人一緒におりたい」といいました。7歳の次女にも話を聞いたのですが、次女のほうは幼くあまり事情が分かってはいませんでしたが、父親と住むのはいや、他の兄弟と一緒でないと一人で遊びに行くのもいやや、と言う風に言いました。

 子どもたちは、今は兄弟4人一緒に幸せに暮らしています。長女は兄弟のうち2人について人身保護請求が起こされたことが精神的に不安定になり、成績が落ちたりしていました。話を聞くと、他の兄弟も4人の兄弟別れて暮らすのは嫌やといっていました。このケースでは、事情があったとはいえ、離婚の際に4人の兄弟を二人ずつ別れさせたことがよくなかったのであり、長女は父親に選ばれなかった、捨てられたのだと思っていたそうです。

 このケースでは、父親は子育てについて放任傾向がありました。また、私が一番問題だと思ったのは、父親側で主たる監護者となる父親方の祖母が、長女と次男は生意気やからいらない、長男と次女だけを返して欲しい、といった発言をしたことでした。そこで、報告書には、最高裁の判例の射程からは外れるかもとは思いましたが、現状とおり親権者でない母親のもとで暮らすべきだということを報告しました。報告をしたときも最高裁の判例の範囲を超えているのではと指摘されましたが、私は父親が監護指定の申し立てをしていないのだから判例のケースとはちがうと主張し、母親側から親権者変更と監護者指定の申し立てがなされたこともあって、父親の人身保護請求の申し立ては却下されることとなりました。

 二つ目のケースは、離婚後、親権者となった母親が事故で死亡し、その後父親が子どもの引き取りを希望しているという事案です。母親の死亡直後から父親は引き取りを希望されましたが、子どもらの混乱が激しく母親の死を受け入れ難い精神状態であったことから、子どもの世話は母親方の実家側親族が行ないました。その後父親が引き取りを申し入れても元妻側親族が拒否することが重なり、父親側から親権者の変更、監護者指定、子どもの引渡し請求を求める審判が申し立てられ、元妻側親族から未成年後見人選任の申し立てがなされました。

 最終的には父親の請求が認められて親権者が父親に変更され、後見の申し立ては却下されましたが、それでも子どもの引渡しがなされないとして人身保護請求を父親が申し立てました。

 この事件では、子どもは11歳と7歳でしたが、母親が亡くなるまで、父親とは交流がありました。ただ、子どもたちは母の死亡後になってから、両親の離婚原因は父親に問題があったためと聞かされました。そのためか、子どもたちは母親が死んだのは父親のせいだと思い込んでしまいました。面談に訪れた私に子どもたちは、父親が母親と離婚しなければ母親が死ぬことはなかった、母親が死んだのは父親のせいだ、絶対に父親のもとにいきたくないと言いました。事故とお父さんは関係ないという説得には耳を貸してくれませんでした。

 私は、父親と父親側代理人に上記の状況を説明し、子どもたちの誤解が解けるように元妻側親族も努力するといっているから、それまで同居をあきらめてくれませんかと説得しましたが、父親は元妻側親族に対する不信感が強く拒絶されました。

 私は裁判所から、子どもたちを父親に引き渡すため、裁判所につれてくるよう言われました。納得していない子どもたちを無理やり父親に引き渡すのは子どもたちを傷つけるだけと考え、子どもたちと話をしたところ、子どもたちは、裁判官に会って自分の気持ちをいいたい、それを聞いても裁判官が父親と住みなさいと言うなら諦める、と言ってくれたので、私も子どもたちに納得して欲しかったので、裁判官に子どもたちの希望を伝え、子どもたちを裁判所に連れて行きました。

 しかし裁判官は子どもたちの話を聞くことなく判決を言い渡しました。

 子どもたちは泣き喚いて暴れ、父親に抵抗していました。父親は子どもたちに土下座して「お父さんが悪かった」と謝り、一緒に来てくれるように頼んでいましたが、それでも子どもたちは抵抗をやめませんでした。

 それでも数時間後には子どもたちは泣き止み父親に付いて行きましたが、たった一週間で逃げ戻ってきました。その後、父親が子どもたちを連れ戻そうと、子どもを拉致するようにして強引に警察に連れて行ったこともあり、再度子どもたちが父親のもとで生活したこともありましたが、やはり逃げ帰ってきました。

 このように子どもの意見を無視して、法律をただ適用しても意味はなく、本当の意味で問題は解決しません。みなさんもこのような事件に出会うことがあったら、このことをよく考えて欲しいと思います。

 以上 

 

 

参考条文 子どもの権利条約

前文 「・・・児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきであることを考慮し、・・・」

第3条(子どもの最善の利益)

1.      子どもにかかわるすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される。

2.      締約国は、親、法定保護者または子どもに法的な責任を負う他の者の権利および義務を考慮しつつ、子どもに対してその福祉に必要な保護およびケアを確保することを約束し、この目的のために、あらゆる適当な立法上および行政上の措置をとる。

3.      締約国は、子どものケアまたは保護に責任を負う機関、サ−ビスおよび施設が、とくに安全および健康の領域、職員の数および適格性、ならびに職員の適正な監督について、権限ある機関により設定された基準に従うことを確保する。

第18条(親の第一次的養育責任と国の援助)

1.       締約国は、親双方が子どもの養育および発達に対する共通の責任を有するという原則の承認を確保するために最善の努力を払う。親または場合によって法定保護者は、子どもの養育および発達に対する第一次的責任を有する。子どもの最善の利益が、親または法定保護者の基本的関心となる。

2.       この条約に掲げる権利の保障および促進のために、締約国は、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適当な援助を与え、かつ、子どものケアのための機関、施設およびサービスの発展を確保する。   

   第12条(子どもの意見の尊重)

1.   締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表明する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。

2.    この目的のため、子どもは、とくに、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて聴聞される機会を与えられる。

第13条(表現の自由)

1.    子どもは表現の自由への権利を有する。この権利は、国境にかかわりなく、口頭、手書きもしくは印刷、芸術の形態または子どもが選択する他のあらゆる方法により、あらゆる種類の情報および考えを求め、受け、かつ伝える自由を含む。

2.     この権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ次の目的のために必要とされるものに限る。

(a)        他の者の権利または信用の尊重

(b)        国の安全、公の秩序または公衆の健康もしくは道徳の保護