第七回国際セミナー「現代中国與東亜新格局:発展・共識・危機」

2013年8月17日更新

2013年8月21日(水)~22日(木),大阪大学会館で第七回国際セミナー「現代中国與東亜新格局:発展・共識・危機」を開催します。 【タイムテーブル

総括セッション:リスク社会―発展・共識・危機(8月21日午前)

リスク社会―発展・共識・危機
昨年は、日中国交正常化40周年という節目の年であった。また、2011年の日中貿易総額が3449億1623万ドル(前年比14.3%増)となり、過去最高を記録した。中国はアメリカに代わって日本の最大貿易相手国となった。さらに、環境分野を始め、教育や文化など経済以外の分野でも交流、協力は拡大している。
しかし、日中間では、領土問題をめぐる反日デモ、暴力事件が発生し、殆どの記念行事は中止され、日中関係は急速に緊張感を増し、政治、経済を始め様々な影響が指摘されている。経済関係が深まる中で、領土をめぐる政治的な緊張関係は日中間に止まらず、日韓関係も例外ではなかった。世界の「成長センター」と言われている東アジアで一体何が起きたのか。2013年も始まり、日本の新体制も発足したが、依然解決の道は見えないままである。
私たちは、日本、中国、韓国の相互関係で発生している問題、すなわち東アジアで起きている問題は、グローバル化の拡大および深化によって生じる問題を象徴するものであり、また東アジア地域の構造的変化として捉えるべきだと考える。ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックは、世界の近代化を「リスク社会」として捉えた。つまり、近代化する社会は、リスクを統御し、支配する複雑なメカニズムを発展させてきた。一方、近代社会の必然的帰結として、「空間的・時間的に無境界なリスク」が、社会的に生産され、近代社会そのものへの脅威となっている。ベックは、この状況を「困窮は階級的であるが、スモッグは民主的である」と端的に言い表している。たとえば、環境問題は時空間や階級に関係なく、すべての人びとにふりかかる問題である。逆説的にいえば、こうした問題は普遍性を有するがゆえに、運命共同体的な地球市民意識の涵養につながる可能性もある。つまり、リスク社会は近代社会を指すが、産業構造や科学技術の進展から新しい時代=段階として捉えるべきであり、これまでとは質的に異なる性格を持っていることを、私たちは意識せねばならない。
21世紀において、もし日中間、または東アジア地域で構造的変化が起きつつあると理解するなら、この変化をどうとらえるべきか。また、私たちが目指す未来社会=日中関係とは、どのような姿なのだろうか。これらの問題に対して、リスク社会をキーワードに、学際的な視点から、私たち自身の問題として正面から答えてみたい。
风险社会―发展・共识・危机
去年是中日邦交正常化40周年的节庆年。在2011年,中日贸易总额达到了3449 亿1623万美元(同前年比增长了14.3%),达到了历史以来最高记录。中国已取代美国,成为了日本最大的贸易伙伴国。近年,不但是在经济领域,在环保,文化,教育等领域,交流,合作也在不断拓展和深化。
可是,就在节庆的日子临近的时候,中日间因为领岛问题发生了争执,在中国暴发了大规模的示威游行和抗议活动。多数纪念活动被取消,中日关系急剧紧张,这种紧张直接影响到了经济,政治,文化等各领域的正常交往。经济关系在不断深化的同时,围绕领土问题国家之间的政治外交关系趋于紧张,不仅是中日间,日韩之间也不例外地出现了对立和紧张。被称颂为世界经济领头军的东亚,到底发生了什么?时间已走进2013年,日本政界也从民主党回到了自民党。可是,人们依然搞不清问题的症结所在,看不到出路在何方。
我们认为,在中,日,韩之间,即在东亚发生的问题是全球化在该地区的渗透和扩大的结果,同时又预示着这种变化不单纯是个别的,偶然的,而是构造性的,深层的。德国的社会学家贝克,把全球性的现代进程理解为,步入风险社会的过程。即现代社会,一方面在不断地完善控制和调整风险的庞大的体系,另一方面,现代社会在深化的过程中又不断地制造跨越时空的风险,风险又变成了现代社会的对立物-威胁。在描述这种状态时,贝克用了一个很形象的比喻,即「贫困是阶级的,而烟雾却是民主的」。因为环境问题会超越时空和阶级,去影响所有的人。
总之,风险社会是指现代社会,但由于产业构造变化,科学技术的发展等具有时间性,风险社会又具有阶段性。不过,不论如何,我们都应该把风险社会理解为,具有与迄今为止的社会不同的特质和性格的社会。如果把中日间,东亚地区间发生的变化预测为构造性的变化,那我们又该如何理解这种变化的实质呢。同时,我们所追求的中日关系又该是什么样子的呢。针对以上问题,我们打算借助风险社会这一基本概念,从跨学科的视角,怀着真诚的信念,去回答我们所面临的问题。(思沁夫)

報告

座長:高田篤(法学研究科)/通訳:許衛東(経済学研究科)・木村自(人間科学研究科)
思沁夫(グローバルコラボレーションセンター)/中国の環境問題:リスク,保護,共働
日中関係は複雑に絡み合っており,国内情勢,国際政治の再編と地域化は日中関係を震撼させている。しかし,中国の深刻化する環境問題(大気汚染や黄砂など),食の安全性に対する不安が越境,拡大する中で,日中が連携し,食と環境の問題解決に向けメスを入れる必要性は多くの人々が感じている。日中関係正常化と共に,環境問題の解決に向け,日本は中国に対し資金及び技術援助を実施し,自然保護に対する様々な協力体制も整備されてきた。特に,民間部門において日中の連携,協力関係が構築され,維持,発展しており,具体的成果を達成しつつあるだけではなく,日中関係悪化にも関わらず困難に果敢に挑戦し,21世紀に入った現在,新たな段階へ進展しつつある。現代社会において環境は政治,経済だけなく生命を脅かす一つの主要な要因である。そこで人類の運命は環境の思想と理解,方針に依存すると言っても過言ではない。また,20世紀後半から急展開をみせた環境保護運動や思想は,あらゆる分野に浸透し,国際的規範として広く共有されつつある。本発表では,中国の環境問題の特徴を分析するとともに中国の環境問題が東アジア,そして世界に与える影響を概観する。そこで高リスク化する環境問題への新たな視点と解決への道程を示し,「抛砖引玉」(れんがを投げて玉を引き寄せる)としたい。
三好恵真子(人間科学研究科)/社会システムにおける安全・安心・信頼:リスク社会と中国の食を巡る構造的課題
中国経済の劇的な発展およびそれによって惹起される国際関係・国際秩序のかつてないほどの甚大な変化に向けた高い関心により、現代東アジアの国際環境に主軸を置く「日中関係」を巡る今日的課題に注視することへの重要性は、なお一層問われており,食の安全性をめぐる日中協力体制の構築についても同様であるといえよう。そこで本報告では、日中における食の安全・安心を巡る問題に焦点を収斂し、日中間の外交問題にまで発展してしまった中国食品に関する具体的な事例を元に、多次元的な分析・評価を試みる。その結果から、中国の食の安全性をめぐる固有性の問題並びに科学的な安全性の追求だけでは解消し得ない「安全でも安心できない」社会構造を生み出している普遍的複層性を描き出す。さらに導かれた課題を、ルーマンの「社会システム理論」に照らし合わせながら再構築することにより、日中間の摩擦を解消するような社会的コンテクストを導く可能性の具体的な検討を試みたい。
梶谷懐(神戸大学経済学研究科)/中国経済におけるリスクと不確実性をめぐって
中国研究者の間では、国民国家的な統一的なシステムが構築されていない限り、「危機」がシステム全体に伝播することはないのだが、それが近年のアジア金融危機やリーマンショックといったグローバルな経済危機に対して中国がそれほど大きなショックを受けなかった原因だ、という説明がしばしばなされることがある。報告では、このような論点を、中国のグローバル経済への統合に呼応する形で現在進められている、金融システム改革への評価と関連づけながら、検証する。
ディスカッサント
中山竜一(法学研究科)/江沛(中国 南開大学)/潘宗億(台湾 東華大学)

大学院・若手研究者のセッション:21世紀の日中関係(8月21日午後)

  • 次世代育成としての大学院・若手研究者のセッション「21世紀の日中関係」では,これまで6回の国際セミナーにおいて大学院生ら若い世代の交流の場としてのプラットフォームを提供してきた経験を活かして,錯綜する東アジアの現況をふまえながら,21世紀の日中関係を「考え」対話することの意味と意義をほりさげて検討する。(为了更好地培养新一代研究者,基于此前已举办的6次国际会议的经验,本届会议专门创建一个博士研究生等年轻研究者能够充分交流的平台,并以“21世纪的中日关系”为子课题。希望大家通过该平台,结合自身研究以及对东亚现状的认识,针对21世纪的中日关系进行深入思考与对话。)
  • 各自の研究課題を「現代中国與東亜新格局」(現代中国と東アジアの新環境)に関わる論点と位置づけ,地域研究の学際性と歴史研究の総合性との対話を試みる。(在以往将各自的研究课题与大会主题“现代中国与东亚新格局”相关联的基础上,本届会议希望以年轻研究者的交流平台为契机,结合地域研究的跨学科性和历史研究的综合性进行尝试性对话。)
  • 報告者(博士課程大学院生)は,それぞれの方法と課題に沿った研究報告を行う。同時にそれが「21世紀の日中関係」においてどのような意味と意義を有しうるのかについて所見を提示する。(报告者(博士研究生)可根据自己的研究题目及方向进行报告。同时,关于自身的研究课题与认识21世纪的中日关系有何关联、或者对于促进中日之间的相互理解有何意义,须提出自己的见解。)
  • 分科会での個別報告を受けて,「21世紀の日中関係」に関わる俯瞰的な討論(対話)を行う。(小组讨论时,先进行各自的课题报告,再在之前所提交的关于21世纪中日关系的“见解”的基础上,展开共同讨论。)

コーディネーター
田中仁(法学研究科)/木村自(人間科学研究科)/鄒燦(法学研究科DC)/潘鈺林(人間科学研究科DC)

分科会

歴史/历史歷史

座長:鄒燦/コメンテーター:片山剛(文学研究科)/通訳:林礼釗(法学研究科MC)

政治・社会/政治与社会政治與社會

座長:洪政儀/コメンテーター:竹内俊隆(国際公共政策研究科)/通訳:王子芸(経済学研究科MC)

文化・科学/文化与科学文化與科學

座長:潘鈺林/コメンテーター:木村自(人間科学研究科)

認識・イメージ/认知与形象認知與形象

座長:周妍/コメンテーター:堤一昭(文学研究科)/通訳:金娜延(経済学研究科MC)

全体会

座長
許衛東(経済学研究科)
ディスカッサント
西村成雄(放送大学)/江沛(中国 南開大学)/陳進金(台湾 東華大学)

自由論題によるセッション(8月22日)

セッションA-1

座長:林初梅(言語文化研究科)/通訳:張煜,楊霊琳

セッションA-2

座長:山田康博(国際公共政策研究科)/通訳:石羽,洪政儀

セッションB-1

座長:田口宏二朗(文学研究科)/通訳:周妍,島田美和

セッションB-2

座長:坂口一成(法学研究科)/通訳:潘鈺林,和田英男

セッションC-1

座長:宮原曉(グローバルコラボレーションセンター)/通訳:Tan Tack-Ki,胡毓瑜

セッションC-2

座長:丸田孝志(広島大学総合科学研究科)/通訳:鄒燦,菊地俊介

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